コロナ自粛明けで「売れた」「売れない」トップ30 4月の消費は値上げラッシュと外出再開で激変

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食品だけのランキングを見てみると、4月25日週は液体だしがトップで、2位はサラダ油・天ぷら油。これは値上げ効果で、数量は横ばい。

3位の乳酸菌飲料は、「睡眠の質向上」などを謳った機能性食品として空前の人気の「ヤクルト1000」効果が大きいだろう。4位は栄養バランス食品。3月に新発売された「カロリーメイトバニラ味」の貢献もありそうだ。

液体だしは3月28日週でも7位に登場している。テレビ番組で紹介された形跡はなく、SNSで話題になったというわけでもないのに、なぜこれだけの伸びを示しているのか。

ここで言う液体だしとは、昆布などから抽出しただしの濃縮液で、しょうゆや甘味料を含まないものを指す。最近スーパーのそばつゆと同じコーナーで、かなり面をとっているペットボトル入りの白だしは、しょうゆも甘味料も入っているのでこのカテゴリーには含まれない。

筆者の活動圏内にある大手スーパーの大規模店舗7カ所を回ってみても、しょうゆ、甘味料が入っていない純粋な液体だしを置いている店はなかった。にもかかわらずこれだけ上位に登場している理由は、もともとの出荷量が非常に少ないためだ。

北海道物産展をきっかけにじわじわ拡販

だしの市場は顆粒が圧倒的な規模で、液体だしはまだまだ市場規模は小さい。主要メーカーは福山醸造、ベル食品、北海道ケンソなど。実はこの3社、すべて本社は北海道だ。

福山醸造は創業者の苗字を社名にしており、広島県福山市の会社ではない。創業130年の老舗で、福井の海鮮問屋が仕入先の札幌で開業した。

しょうゆやみそ、つゆやぽんずなどが主力商品で、ブランド名はトモエ。同社によると、日高や羅臼の昆布を原料とする液体だしも昔から製造していたが、販売先はほぼ道内だけだったらしい。

しかし、コロナ禍で内食需要が増えだしたあたりから、徐々に道外のスーパーなどが北海道物産展を開催する際に声がかかるようになった。物産展で評判がいいと、固定で棚を空けてもらえるケースが徐々に増え、この3年ほどの間にじわじわ増えてきているのだという。会社側にも「都内のどこのスーパーなら買えるのか」といった問い合わせも増えてきているという。

家庭で昆布からだしをとるのはかなりの時間と手間がかかるので、濃縮液は使ってみると思いのほか手軽。しかも味が濃いので調整もしやすい。「1度使ってもらえるとリピーターになってもらえる確率は非常に高い」そうだ。

ベル食品は、ジンギスカンのたれにおける道内シェアが圧倒的で、北海道民でこの会社を知らない人はいないといっても過言ではない。最近になって液体だしも製造・販売するようになった。

ちなみにベル食品と福山醸造の社長は同じ福山姓。聞いてみたところ親戚同士だそうだ。

次に液体だしの販売動向がこの3年間、どのような推移を示していたのかを見てみたい。図1は4月25日週の食品ランキングに登場した、コロナ禍の内食需要増で光が当たった冷凍水産、冷凍農産とともに、液体だしの2020年1月6日週から2022年4月25日週までの全期間、2019年比で集計しグラフ化したものだ。

連休など外出が増えた週に落ち込む傾向はあるものの、冷凍水産と冷凍農産は巣籠のピークだった2020年4~5月以上の伸びを示していることがわかる。

これに対し液体だしは市場規模が小さい分変動は激しいが、今年に入って150%近い伸びを示す週が増えていることがわかる。行動制限が緩和されたことで、スーパーなどでの物産展の開催頻度も上がっていることが影響しているのかもしれない。

2020年4月から5月にかけての巣ごもりピーク時に一気に伸びた、コロナ時代の申し子ともいえるお菓子作り関連品目は、その後どうなったかを、これも全期間2019年比で集計したものが図2のグラフだ。

 

直近4月25日週の2019年比は、エッセンス類が84.1%、プレミックスが79.8%、ホイップクリームは98.0%だが、プレミックスとホイップクリームは3月までは100%を超える週の方が多かった。

巣ごもりピーク時の需要は一時的かつ異常だったにしても、行動規制があった3月まではそこそこ堅調だったことがわかる。

行動規制が解かれた5月以降、お菓子作り3点セットは、そしてここまで順調にきた冷凍水産や冷凍農産、そして液体だしはどういった動きを見せるのだろうか。

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