「選抜メンバー」視点でモノを残す楽ちん片づけ術 定期的な「メンバーの入れ替え」もお忘れなく

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これから生きていくのは、「今」と「未来」です。今も頻繁に使っているもの、これからも必ず使う物と量を選び取ってください。

さて、もう1つの基準「棺に入れたいほどの物」とは、どういう物でしょうか? おそらく「棺」という言葉にドキッとされたことでしょう。でも棺というのは、あくまでもイメージ。実際に、あの背丈ほどの小さなスペースに収まる物だけに減らしましょうと言っているわけではありませんのでご安心ください。

「棺」とは、あなたにとって「大切さ」のバロメーターです。生活必需品ではないけれど、大切な物や思い出の物のことです。

思い出だから、大切だから、と感情のおもむくままに残したら、いっこうに部屋は片づきません。あなたを支えるメンバーを選抜を一番判断しやすい基準が、「棺に入れたいほどかどうか?」なのです。

あの世へ何を持って行きたいか?

想像してみてください。あの世にはじめて向かう「ひとり旅」。あなたは、どんな物を持って行ったら安心できて、心強いでしょうか? 
棺に入れたいと思うほどの物は、最優秀選抜メンバー、あなたの心を支える「真の宝物」です。

私の場合は、じっくり考えてみると、棺にまで入れてほしいと思うのは、家族の写真や、家族から贈られた物くらいでした。大切だから、思い出だから、あの人にもらった物だから……と、何十年も残していた物の山はみるみる小さくなったのです。

象徴的な例でいえば、卒業アルバム。以前、卒業アルバムを手放したという人の話を聞いたとき、なんてドライなんだ、冷たすぎるのでは? と感じましたが、この基準で見直したとき、私も手放すことができました。何十年も見てもいない卒業アルバムを、棺の中に入れたいとまでは思わなかったからです。本当に大切なら時折見返しているはずですしね。

また、たくさんの物を残し、何も言い残さないまま旅立った場合、あなたの棺の中に、まわりの人が何かを入れてくれるでしょう。良かれと思って入れてくれた物だとしても、全然嬉しくない物かもしれません。

「そんなもの入れなくてもいいよ」「あれを入れて!」と叫んでも、残念ですがあなたの声は届かないのです。「真の宝物」はあなたにしかわかりません。

人生のゴールの話や、もしものときの準備するなんて縁起でもない! と言われることがまだ多いのですが、私はちっとも不吉なことと思いません。ゴール、旅立ちを想像して準備しておくことは、最期の最期まで自分が自分らしく安心して過ごせるようにするためのポジティブな活動です。

科学が進歩した令和の時代、街中の人たちが最期を想像して、いっせいに片づけを始めたら、全員の死期が早まるようなことがないのは、明白。
最期のことを軽々しく扱うべきではありませんが、しっかり向き合っておくことは、人生を清々しく生き抜くための準備として大切です。

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