「政治的暴力」が多発、脅威が増大するアメリカ テロは国外から国内へ、3つの要因が引き金に

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アメリカ国勢調査局によると、2045年までに国民に占めるマイノリティの割合が非ヒスパニック系白人の割合を史上初めて上回るという。2021年1月、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)が実施した世論調査によると共和党支持者の56%が、アメリカの伝統的な生活様式が蝕まれることを防ぐために武力を利用することを支持すると回答した。

ルイジアナ州立大学のネイサン・キャルモー准教授とメリーランド大学のリリアナ・メイソン准教授の研究では共和党支持の白人でマイノリティーに嫌悪感を抱く人物ほど民主党支持者を邪悪あるいは普通の人間より劣ると捉えがちである、と分析している。そして、心理学によるとそのように捉えるほど、暴力行為に抵抗感がなくなるという。

第2の要因:「民族アントレプレナー」から一般国民へ

政治的暴力の根底にあるのが、共和党の一部による暴力容認あるいは暴力を積極的に利用する姿勢だ。カリフォルニア大学サンディエゴ校のバーバラ・ウォルター教授は著書「内戦はどのように始まるか(How Civil Wars Start)」で、異なる民族間の対立を煽るトランプ前大統領を「民族アントレプレナー」と呼んでいる。

白人至上主義の思想はアメリカ政治の中につねに存在していたが、エスタブリッシュメントによってこれまで社会の片隅に追いやられていた。民族アントレプレナーのトランプ前大統領は政権4年間で、中南米などからの移民流入に厳格な姿勢を示し、白人至上主義の思想を積極的に否定せず、今や同思想は共和党のメインストリームの考えに取り込まれてしまったと言っても過言ではない。

トランプ前大統領の退任後もその影響は続く。2月、共和党全国委員会(RNC)は議会乱入事件の調査について、「正当な政治対話に参加した一般市民」に対する民主党の迫害である、との決議を採択した。議会乱入事件を受けトランプ氏の弾劾を支持したリズ・チェイニー下院議員は、その数カ月後、共和党指導部から外された。さらにマッカーシー下院少数派院内総務は、下院特別委員会の副委員長を務めるチェイニー下院議員の対抗馬を支持。政治的暴力がいかに共和党内で浸透しているかを垣間見ることができる。

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