新ノートPCで判明「アップルシリコンM2」の実力 17万8800円「13インチMacBook Pro」使ってみた

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M1を搭載した13インチMacBook Proでは、シングルコア1700前後、マルチコア7500前後、グラフィックス21000前後であったことから、それぞれ11.2%、26%、42%の性能向上を認めることができる。

処理性能の26%向上、グラフィックス性能の42%向上は、非常に高い負荷がかかるビデオや3D等の処理においては、体感できるほどの性能向上になるはずだ。こうした性能向上にもかかわらず、バッテリーが最大20時間の動画再生、17時間のワイヤレスインターネット利用という、M1モデルと同様の水準を維持しており、チップそのものの省電力性も向上していることがわかる。

改めて考える「アップルシリコンとは」

アップルが独自設計のチップを採用した背景には、インテルを採用したMacの行き詰まりがあった。インテルチップを採用し続けている限り、Windows PCに性能面での差別化ができず、ラインナップを絞っているMacが魅力を発揮できずにいたためだ。

そこでiPhone・iPad向けチップから発展させたアップルシリコンをMacにも採用する戦略を打ち出すこととなった。
アップルシリコンの設計思想は、

1)低電力・高効率であること

2)ユニファイドメモリーアーキテクチャであること

3)カスタムテクノロジーにより、ユーザーのニーズに直接応えること

の3点が挙げられる。

1つ目の「低電力・高効率」については、これまでのチップの常識だった「性能が高ければ消費電力も高い」という関係を覆すことにある。実はスマートフォンなどのバッテリーで動作するデバイスだけでなく、大規模化が続くサーバ向けチップの世界でも同様のニーズが存在するトレンドでもある。

M2の省電力化と高性能化の両立を実現するにあたって、背景にあるのが、第2世代5nmプロセスによる製造だ。アップルシリコンの製造を引き受けるTSMCは、この技術を用いて同じ消費電力で動作周波数を5%向上させる、もしくは同じ周波数の電力を最大10%削減することができる技術を導入している。

実際、M1は動作周波数3.2GHzだったが、M2は3.5GHzに向上しており、バッテリー持続時間を維持しながらの性能向上に寄与していることがわかる。

次ページ2つ目のユニファイドメモリー
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