ドゥカティ「パニガーレ」記念モデルに漂う伝統 名ライダー・ベイリスの名を冠した走りの本質
そんな、ベイリス選手の名がつけられたマシンが「パニガーレV2 ベイリス 1stチャンピオンシップ 20周年記念モデル」である。まず目に飛び込んでくるのが、美しいトリコローレにペイントされたグラフィックと、彼の愛したゼッケン21だ。ドゥカティは、多くの市販モデルで単色展開を好むメーカーだが、選手の名がつけられたプレミアムモデルは、真逆とも言える情熱的なカラーリングで人々を魅了する。
ドゥカティ伝統の90°V型2気筒エンジンを搭載
エンジンは、955ccで2気筒のスーパークアドロ・エンジンが搭載され、最高出力は10750rpmで155ps、最大トルクは9000rpmで104Nmを発生。長きにわたりドゥカティストを魅了してきたエンジンキャラクターそのものだ。
パフォーマンスこそ、4気筒で220馬力を誇るパニガーレV4へ譲るものの、扱いやすいエンジン特性と相まって、レギューレーションで参加可能(気筒数によって排気量が異なる)なスーパースポーツ世界選手権600クラスでは表彰台も獲得。とは言え、決してむずかしいマシンではない。
一体感を生み出す軽量コンパクトなシャーシ
マシンを目にして改めて感じるのは、その美しい柔和な曲線を多用したデザインだろう。流行りの付加価値的エアロパーツをあえて装着しないことで、本来の造形が引き立つ。
国産マシンとは違い、いかにコンパクトにマシンを作り込むか?
生産性との戦いでもあるテーマに、超小型モノコックフレームというシャーシデザインを活かしたドゥカティの技術力が垣間見える。それは跨っても実際に股の下でいかにマシンが細く仕上がっているかが体感できる。太ももの内側やタンクへのニーグリップ、踵のステッププレートへも自然と一体感を感じるので、4輪で例えるならできのよいバケットシートに収まるような感覚だ。シート高835mmながらも数値以上に脚つき性は良好だ。
そして目に飛び込んでくるのは、左右ハンドルの間にある機能部品。アルミビレット加工されたトップブリッジには、レーザー加工された“ベイリス”の名とシリアルナンバーが刻印されている。足まわりに目を移せば、オーリンズ製のコンポーネントが採用されている。フロントにはNX30フォーク(左コンプレッション、右リバウンドに加えプリロードは左右でそれぞれ調整可能)、リヤにはスポーツモデルの定番とも言えるTTX36フルアジャスタブル仕様のショックアブソーバーを装備する。
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