なぜ人は「ロードスター」に引き寄せられるのか 30回目の軽井沢ミーティングで再認した吸引力

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歴代ロードスターの中でもっとも販売台数の多い世代であるため、かつては中古車の流通量も多く価格も安かったが、近年では日本で昭和~平成初期のネオクラシック車ブームの影響もあり、中古車価格は上昇している。程度が良いモデルは、新車発売当時の価格を大きく超えることも珍しくない。

マツダ本社ではNAのレストア事業も手がけていて、軽井沢ミーティング2022に参加した同事業担当者よると「フルレストアについては70件ほどの依頼があり、すでに10件を対応したが、年間3件をこなすのが精一杯の状況だ」という人気ぶりだ。

そのほか、復刻部品も充実させているが、ユーザーアンケートを取るとNAのエンジン関連部品の復刻に関する要望が多いことがわかったという。

マツダ本社が手がけるレストア事業により復刻されたパーツ(筆者撮影)

2030年以降も存続すると明言

筆者は2021年春、自動車関連メディアの記事対応で、マツダ本社が保管するNA、NB、NC、NDの4世代を順番に借りて、それぞれ数日ずつ試乗した。

そして、関東周辺各地を走りながら、各モデルの新車当時の思い出が蘇ってきたと同時に、4世代のそれぞれに“乗りごたえ”があり、“味わい”があることを改めて実感したのだった。こうしたロードスターの世界観がこれからも末永く続いてほしいと、軽井沢ミーティング2022の地で思った。

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世の中には今、2050年までのカーボンニュートラル達成に向け、BEV(電気自動車)を筆頭とした電動化の大波が押し寄せている。また、4輪車の走行騒音規制がグローバルで段階的に厳格化されていく中、ロードスターも次世代に向けて、大きな壁を乗り越えていかなければならない。

そのうえで、マツダ幹部は「2030年以降の(事業の)ロードマップに、ロードスターは載っている」と明言している。

CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)とか、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)といった、技術論や政策論ではなく、単純に「このクルマと一緒に過ごす時間が楽しい」と思える風景が自然に見えるクルマ。

そんな思いを抱きながら、ロードスター車内から大きく手を振り、来年の軽井沢ミーティングに向けてロードスターの仲間たちにしばしの別れを告げた。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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