私学無償化も影響?「100人超え部活」に感じる不安 秀岳館高校サッカー部は1年生だけで部員120人

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秀岳館高校のそばには各部活動の成果を誇る巨大看板がズラリ(写真:筆者撮影)

サッカー以外の運動部に特待生として秀岳館に入学した生徒は、こう話す。

「県立高校を受験することも考えたけど、授業料はどちらもかからないから私立でいいよと親から言われたのでここに来ました。県立だと進級できなかったらどうするのと親は心配だったようで……」

本当に私立のほうが進級しやすいかは定かでないが、生徒の保護者はそう考えたようだ。

「私立高校無償化」の思わぬ影響

この保護者が息子に告げたように現在、私立高校にほぼ無料で通える制度がある。2020年度から私立高校に通う高校生に対し国からの高等学校等就学支援金の上限が39万6000円に引き上げられたためだ。

熊本県の場合、保護者の所得にもよるが、例えば秀岳館なら、授業料は年間36万円なので、就学支援金でほぼまかなえる。

この就学支援金は、当時の鳩山(由紀夫)政権の目玉政策だった「高校無償化法」(2010年成立)が始まりだ。当初は、私立高などに支給される就学支援金は公立授業料同等額の年間11万8800円が基本だったが、この10年間で増額された。

熊本県に隣接する九州某県の公立中学校に勤める50代の教員Aさんはこう話す。

「それまでは通いたい私立高校があっても家庭の経済的理由で諦めていたようなケースが、今はなくなってきた。授業料無償化のおかげです。授業料がいらないんだったらと、スポーツ推薦で遠方の私立校に行かせる人も増えています」

たとえば、2021年度にサッカー全国高校選手権に出場した48校の部員数を見ると、最多が276人で、200人台は3校、190~180人台は4校。48校中実に29校が100人超えで、そのうち私立高校が26校を占める。甲子園を目指す高校野球でも、部員の100人、200人超えは珍しくない。

このようにスポーツの強豪部活が巨大になっている要因のひとつに、高校の授業料無償化がありそうだ。

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