あるいは取材した情報通信系の会社では
「当社では3年以内に女性管理職の比率を3割以上に引き上げます」
との目標。あるいは、経営会議に参加するメンバー(社外取締役、監査役含む)で2割以上は女性が占める状態にするため、ヘッドハンターに多額の費用を払って、外部からの招聘に力を入れている食品メーカーなど、活躍する女性の存在を示すための経営努力を頻繁に耳にします。
こうした女性の活躍推進に取り組む会社が増えること自体は喜ばしいこと。ただ、取り組むスピード感が実態とマッチしていればいいのですが、その点はどうでしょうか?
あのリクルートでも、女性管理職はまだ多くない
そもそも、女性が指導的な立場で増えることには、いくつもプラスがあると言われています。
日本政策金融公庫の調査によると女性役員・管理職がいる企業ほど売り上げや収益力が高まる傾向が明らかとのこと。特に細部に気を配るきめ細やかさを指摘する声が目立ちます。
確かにサービス業界などは、先進的に女性を指導的な立場で登用していますが、業界的に特徴が生かしやすいのかもしれません。ちなみに当方がかつて勤務していたリクルート社は女性役員や管理職が多く、その特徴を生かして商品企画やマネジメントで高い成果を出していた人がたくさんいました。
当方が勤務中の社長で河野栄子さんという女性経営者を筆頭に、個性豊かな経営幹部が活躍していました。現在も経営幹部候補の女性社員を対象に「自分が成し遂げたいこと」を言語化することで、経営者としての意識を持ってもらうことを目的とし、約半年間のビジョン研修を実施。リクルートグループの国内主要企業において、指導的な立場の人材を増やす取り組みを推進しています。ただ、その比率は全体の5%前後。女性の活躍推進を上げるのは簡単ではないようです。
それだけ社内で指導的な立場で活躍する人材を育てるには時間がかかります。仮に新卒で採用した人であれば10年近くかかります。ゆえに指導的な立場の女性を増やすと決めたとしても、成果がみえるまで何年かかるか? 政府の方針が出たからと、ほんの数年で高い数値達成を目指すのは拙速としか言えません。
ところが、経営者はせっかちなもの。結果を早く出したいと思いがちです。結果として目標を達成するため、「やや強引」と思われるような取り組みをしている会社もあるようです。たとえば、管理職になりたくないと考えている女性社員に対して
「会社のために我慢して管理職になってくれ」
と懇願して、双方が気まずい状況になることも。結局は貴重な戦力であった社員を失うハメになったケースも聞きます。
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