「維新流改革」は「次」に何を目指しているのか 「国政政党」「改革保守」としての課題と挑戦

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日本維新の会代表の松井一郎・大阪市長(撮影:ヒラオカスタジオ)
全国政党に成長した維新は、国政政党としてどんな政治を目指すのか。『大阪政治攻防50年: 政党・維新と商都興亡の戦後史』を上梓した作家・塩田潮氏が、維新幹部へのインタビューから「次なる一手」と「国政政党としての課題と挑戦」を明らかにする。

国政政党となった維新

次の参議院議員選挙まで残り約1カ月となった。岸田文雄内閣の支持率は好調だ。5月19日発表の時事通信の世論調査で50.8%、23日発表の朝日新聞調査は59%だった。就任直後の2021年10月の衆議院議員総選挙を乗り切った岸田首相は、ツキにも恵まれ、「参議院での与党過半数確保」という政権維持の条件を達成して続投を果たしそうな情勢である。

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対照的に、低迷から脱せずに苦闘しているのが野党第一党の立憲民主党だ。世論調査の「参院選の比例代表選挙での投票先」を尋ねた項目で、「立憲民主党」と回答した人は5月19日発表の時事6.1%、23日発表の朝日10%だった(「自民党」は時事38.5%、朝日42%)。

対して、野党低調の中で比較的、今も期待値が高いのが日本維新の会である。衆院選で議席は約4倍増、比例代表選挙の総得票も2017年総選挙の2.4倍の805万票と、躍進を遂げた。「参院選の比例代表の投票先」調査も時事6.3%、朝日11%で、立憲民主党を上回っている。

参議院の維新は現在15議席だが、世論調査を見る限り、3年前の参院選の獲得議席(計10・選挙区5・比例代表5)を大幅に超えそうな気配だ。倍の20に届けば、非改選(9)と合わせて30前後で議席倍増となるが、その成否も参院選の見所の1つだろう。

何といっても衆院選での躍進が影響しているが、その点について、維新の松井一郎代表(大阪市長)は選挙後、インタビューでこんな点を強調した。

「維新は『自民党ばっかりもいや、立憲民主党や共産党はもっといや、ちょっとまともに政治をやってよ』という人たちの受け皿になった。ですが、選挙中の党首討論で『選挙の目標は自民党の過半数割れ』と言ってきたけど、自民党は単独で絶対安定多数を取った。僕らは目標を達成できていません。負けたんだろうなあという捉え方をしています」

候補擁立の15小選挙区で全勝という大阪での完勝も飛躍の要因だったが、比例代表で北海道以外の10ブロックでの議席獲得に成功し、「全国規模の国政政党」を印象づけた。岸田首相の新路線に背を向ける自民党支持層や、共産党との共闘を選択した立憲民主党に反発する野党支持の保守票の受け皿になったのは事実だ。

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