「維新流改革」は「次」に何を目指しているのか 「国政政党」「改革保守」としての課題と挑戦

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全国政党に成長した維新は、国政政党としてどんな政治を目指すのか。「維新の頭脳」といわれる浅田均・参議院議員会長は経済成長実現と統治機構改革の関係を強調する。

「われわれが目指しているのは成長に必須の大きな民間経済の創出。それには統治機構の改革が不可欠です。その点には、党派を超えて根強い支持があります」

地方分権を含む統治機構の変革や、規制緩和などの構造改革によって成長を生み出すというのが維新の基本的な考え方である。「新自由主義路線」という指摘も少なくないが、浅田氏はあえて否定しない。だとすると、就任時に「新自由主義的政策からの転換」を打ち出し、分配重視を掲げる岸田首相とは、対極の保守勢力と位置づけられる。

目標は野党第一党

日本の政党政治の将来像をどう構想し、どんな政治を実現しようと考えているのか、松井代表に聞いた。「全体として伝統的な保守と改革保守の2大政党政治を目指す方向ですか」と質問すると、「そうすべきだと思います」と明言し、「維新は改革保守の勢力の中核に」という認識を示した。

伝統的な保守は、20世紀型の近代国民国家の考え方に立ち、中央集権体制で政治と官僚機構が一体となって全国一律の行政サービスの提供を目指す政治だ。分配を重視し、「大きな政府」を容認する。一方の改革保守は、新しい多極分散型の分権国家を想定し、国政は「小さな政府」で、「大きな民間経済」を創出して、経済成長を促す路線と見る。

加えて、松井代表は「目標は野党第一党」と公言する。維新を自民党の補完勢力と位置づけて、将来の与党参加を予想する見方も多いが、松井代表は野党路線にこだわる。

「野党第一党」には選挙のハードルも高いが、それだけでなく、党の内実、構造や体質の面でも「野党第一党」には程遠いと陰口をたたかれるような問題点も数多く抱える。

第1は、党のガバナンスだ。維新の所属メンバーは「玉石混淆」で、とくに人材難から「来る者、拒まず」でかき集めた「石」のレベルの人たちの選別という問題が、繰り返し噴出する。不十分な党内統治能力という壁を乗り越えることができるかどうか。

第2は、初代代表だった橋下徹氏が「要注意」と指摘する「大阪組と国会組の亀裂」も懸念材料である。全国政党に成長すれば、党内の大阪組と、「大阪発の地域政党」という原点と初心を知らない非大阪組との対立が、二極化の火種となる可能性がある。

第3は、以上の第1、第2の壁を克服するためにも、今後のトップリーダーの人選が重要となる。松井氏は2023年4月の大阪市長退任と政界引退を予告し、今もその方針を変えていないが、代わって強力な指導力と統治能力を持つ人材がいるかというと、答えはノーだ。

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