大幸薬品「クレベリン」の広告はなぜ問題なのか? 景品表示法戦略が的外れだった点が最大の誤算
クレベリンは言わずと知れた大幸薬品社の主力商品。
コロナ初期の2020年度は売上拡大で業績予想も上方修正が続いたが、2022年第1四半期は措置命令の影響か17.4億円の赤字となった。「根拠がないという理由で措置命令が下った」というと、クレベリンの効果が否定されたような印象を与えるが、実際はそうでなく、大幸薬品社の景表法戦略に的外れな点があったにすぎない。
その意味ではこの売上下落は防止できたもので、景表法に対する「認識不足」が悔やまれる。
大幸薬品と消費者庁の前代未聞の攻防
2016年4月から、景表法違反のペナルティーとして課徴金制度がはじまり、場合によっては2億円を超える巨額の課徴金が課されるようになった。だが、医療・健康・美容に関する社会のニーズに対し、消費者庁から発信される情報はあまりにも少ない。
通常、消費者庁による景表法違反の追及は、次のようなフローになる。
1.調査要求として、消費者庁が根拠のあやしいと思う広告に関する資料を出させる。
2.広告のここがあやしいと見定めたら、そこの根拠を15日以内に提出するよう要求する(合理的根拠の提出要求)。
3.提出書類を審査し、NGと判断したら「最後の弁明の機会」を与える。これは一種の儀式。告知から弁明書提出までの期間がわずか15日と短く、ここでの弁明が認められることはまずない。
4.予定調和的に措置命令が下される。
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