超低金利で運用難、一時払い保険がピンチ 貯蓄性保険の値上げや販売停止が続出

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一時払いの養老保険や個人年金の市場規模は小さく、販売停止の影響も限定的。だが、日本生命が値上げに踏み切った一時払い終身保険となると、それなりの規模がある。

日本生命では14年4~9月期の新契約の年換算保険料全体の1割弱を占める。第一生命でも同期間の新契約件数全体の17%が一時払い終身加入者だ。相続対策商品としても今後需要増が期待され、仮に販売停止となれば、業績への影響は小さくない。

大手追随の可能性も

生保会社は予定利率を決める際、金融庁の定める運用利回り(標準利率)を参考にしている。低金利が続く中、金融庁は14年4月から、一時払いでそれまで年1回だった標準利率見直しを、年4回に変更(4月から3カ月ごと)。一時払い終身の標準利率は7月以降に引き下げることが見込まれている。日本生命ではこれに先駆けて、予定利率引き下げ(保険料値上げ)に踏み切った格好だ。独自の算定ルールに基づき下げたというが、実勢の低金利にいち早く対応したことになる。

気になるのは、他社がこれに続くかだ。

今のところ「すぐに追随することはない」という声が大半だが、10年物に加え、現在0.9%台に下げている20年国債の金利までが下がり続ければ、「販売停止となる可能性も否定できない」と、業界関係者は打ち明ける。

生保業界にとって最大の懸念は、一時払い終身だけでなく、平準払い保険という本丸にも、超低金利の累が及びかねないことである。超低金利で運用に苦慮している状況は変わらないからだ。

株高、円安効果で表面的には一息ついたかに見える生保業界だが、逆風はまだ吹き続けている。

「週刊東洋経済」2015年1月31日号<26日発売>「核心リポート05」を転載)

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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