中央線グリーン車「半導体不足」?導入延期の真相 計116両を新造予定、何に使う分が足りないのか
中央快速線のグリーン車は2020年度にサービスを開始する予定だったが、「バリアフリー等の他施策との工程調整や関係箇所との協議等」(JR東日本の2018年4月発表より)を理由として2023年度末に延期となっていた。今回の発表では少なくとも1年程度遅れる見込みであるとしており、もっとも早くて2024年度末、またはそれ以上後ということになる。
グリーン車は2階建てで、編成1本当たり2両、計116両(58編成分)製造される予定である。両数は多いが、基本的に2階建てグリーン車はモーターなしの付随車で、それほど多くの電子機器類が必要なのかという疑問も湧く。車内ディスプレーやグリーン車Suicaシステムの半導体にそれほど特殊なものを使用しているということも考えにくい。また、これまでJR東日本では、半導体不足が原因で車両の導入が遅れたケースはない。
ブレーキ制御などの機器類向けが不足
JR東日本に聞くと、中央快速線のグリーン車導入にあたって不足しているのは、車両の各種制御を行うために必要な機器で使用している半導体とのことだ。具体的にはドアの開閉やブレーキを制御する機器ということであり、運転操縦を行うために必要な車両の基本的性能を満足できない状況にあるという。
ブレーキの制御などは安全の根幹にかかわる部分だ。それらの機器に使う半導体が不足しているとなれば、車両製造に影響が出るのもやむをえないだろう。
そうなると、今後のほかの新車導入に影響することも考えられそうだ。今回発表した設備投資計画には、2024年春に営業開始予定の山形新幹線E8系新造についても触れている。在来線車両の新造にはとくに触れていないが、国鉄時代末期からJR初期に製造された車両を使用している路線はまだあり、そういったエリアへの新車導入は今後必要になってくる。
今回の中央快速線グリーン車のように、今後のほかの車両導入計画にも半導体不足の影響は出るのだろうか。JR東日本はこの点について、「影響が出る可能性はあり、精査を進めております」としている。現在の半導体不足がしばらく続く限り、車両の新製は計画しにくい状況となるかもしれない。
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