ゼネコンが自らの手で招いた「建設業の衰退」 外国人を入れても職人不足は解消に向かわず

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今回の緊急措置では、在留中または帰国して1年未満の実習生は2年間、帰国して1年以上経過した実習生については3年間の特定活動との名目で期間を延長できる。実習生への給与は、都道府県ごとに定められている最低賃金でよかったが、実習経験者には入社4年目の日本人技能者と同等の待遇が求められる。それだけの給与を払って来てほしい外国人であれば、即戦力になるだろう。

「過去に建設技能実習の研修で来日した外国人の9割は中国人。再来日する外国人は限られるのではないか。やはり国内で人材をいかに確保するかが重要だ」。

建設専門工事業の全国組織、建設産業専門団体連合会の才賀清二郎会長は、外国人就業者への過度な期待に釘を刺す。まずは、待遇改善によって日本人の雇用を増やすことが先決というわけだ。

生産調整でひっ迫感薄れる

2008年のリーマンション後の2年間で建設技能労働者は27万人減の331万人まで落ち込んだ。その後、公共工事労務単価の引き上げや高齢者の活用で7万人ほど増え、国土交通省の建設労働需給調査でも今年度に入って不足率は低下傾向にある。一時期ほどのひっ迫感が薄れているのは、ゼネコンが職人を確保できる範囲内で出来高(施工高)を管理する、いわゆる生産調整が行われているからだ。

「施工体制を確保できる見通しが立たなければ、受注はしない。お断りしている案件もある」(準大手ゼネコン幹部)というのが実態。ゼネコン各社が今年度の受注計画を軒並み前年割れと予想しているのも「前年度に受注を取り過ぎた。手持ち工事が積み上がっており、今年度は無理に受注しなくてもいいという社内向けメッセージの意味もある」(大手ゼネコン首脳)と打ち明ける。

本来なら、若年層を中心に日本人の技能労働者を確保したいのだが、「都会で育った若者は建設現場では働いてくれない」のが悩みのタネ。建設産業専門団体連合会が傘下の14業界団体に昨年初めて行なった「雇用状況等に関するアンケート調査」では、回答のあった903社での2013年通期の若年層(10~30代)採用人数は2430人。うち新卒採用は4割にとどまった。

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