東レが新興国の攻略に先手、炭素繊維を相次ぎ増産 

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 韓国工場に炭素繊維生産設備を新設するのはその予防線的意味合いもある。韓国は、東レが持つ日本や欧米工場に比べて、人件費や水道光熱費などが安く法人税率も低い。航空機向けほど品質は高くなくとも、コスト競争力の高い商品を作りやすい。中国など新興国メーカーの製造に先んじて低価格帯市場に食い込むことで、こうしたメーカーの参入を牽制する算段だ。

ただバークレイズ・キャピタル証券の山田幹也マネージングディレクターは「牽制につながるかは微妙」と指摘する。戦闘機など軍事用途にも活用される炭素繊維は、国を挙げ採算度外視で生産体制を強化する可能性があるためだ。新興国メーカーを迎え撃つには「価格が半分になるような製造プロセスの改善に注力する必要もある」(同氏)。

事業拡大へ積極策に出る東レ。さらなる飛躍には品質だけでなく、新興国メーカーと戦える価格の実現がカギを握ることになる。

◆東レの業績予想、会社概要はこちら

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(鈴木良英 =週刊東洋経済2011年2月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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