電気代の高さが心配な人に知ってほしい最新動向 出口が見えない値上げ、どれほど節電できるか

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また、使わずにコンセントに差したままの間に消費される待機電力は、世帯の全消費電力の5%以上を占めるとも試算されています。差しっぱなしの電気機器はコンセントから抜く、リモコンのオフだけでなく主電源を切るなどを徹底するだけでも節電できます。

このような工夫なら、家電の使い心地をそれほど損ねずにすみそうです。できそうなことを組み合わせて、少しでも電気代を安くしたいものです。

省エネ家電に買い換えで最大2万円のポイント

しばらく買い替えていない家電製品は新調するのも手です。家電製品は新しいものほど省エネ効率が高く、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、照明、テレビ、電気便座などは特に省エネ性能が改善しています。購入から数年程度であればそれほど変わらないことがありますが、10年、20年使っている家電製品なら、最新のものに代えることで大幅に消費電力を抑えられる可能性があります。

主要家電製品のエネルギー効率の変化(出所:資源エネルギー庁「エネルギー白書2021」)

しかし家電の買い替えには高額な出費がかかります。そこで活用したいのが、自治体による補助制度です。たとえば東京都では省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、給湯器に買い替えた人に、最大2万円分の商品券がもらえるポイントを付与する「東京ゼロエミポイント」キャンペーンを行っています。

来年3月までに買い替えた家電が対象で、購入時の領収書や保証書などを添えて申請するとポイントがもらえます。ポイントは1ポイント1円換算で、全国のスーパーやレストランなどで使える共通商品券と、都内の対象店でLEDランプや照明器具の購入に使える割引券に交換できます。

上記は東京都民限定のキャンペーンですが、他県や全国を対象にしたポイント事業が行われることもあります。昨年には首都圏の9都県市で、エアコンと冷蔵庫の買い換えで賞品が当たるキャンペーンが行われていましたし、兵庫県などでは冷蔵庫の買い替えに最大1万円の補助金が出る事業がありました。

首都圏のキャンペーンでは、買い換えにより1件あたり年間約3000~9500円の電気代節約につながったと試算されています。長く使い続ければやがて購入費の出費以上の節約効果になるでしょう。中長期的に電気代の値上げが続くなら、思い切って買い替えるのが有利かもしれません。

家計のあらゆる負担が重くなっている今、少しでも効果的に、無理なく節約できる方法を取り入れていきたいものです。

加藤 梨里 FP、マネーステップオフィス代表取締役

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かとう りり / Riri Kato

保険会社、信託銀行などを経て2014年にファイナンシャルプランナーとして独立開業。家計相談、セミナーや雑誌・ウェブサイトでの執筆を中心に活動。慶應義塾大学SFC研究所上席所員として、健康増進とライフプランの関係をテーマに研究活動も行っている。http://moneystep.co/profile

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