コマツ"仰天"新機軸、建設現場に無人ヘリ! 目指すは超ハイテクな現場、人手不足に対応

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進捗など工程のすべてはスマホ、タブレッド端末で即時に把握できる

工事現場の作業は、まず施工前の現場の状況を把握するところから始まる。通常は現場作業員が2名以上で行う作業を、コマツのスマートコンストラクションではドローンに搭載されたカメラ、3Dレーザースキャナーなどを用いて自動で行う。人の手で数カ月かかるような作業でも10~15分で行えるうえ、精度も上がるという。

また顧客の設計図面は、コマツの側で3次元データ化。これを無人測量で出来上がった現場の現況データと組み合わせ、さらに希望の工期や人員数、これまで蓄積してきた別現場での施工データも加味し、最も効率のいい手順を割り出す。

そしてこの手順をICTブルドーザー、ICT油圧ショベルなどに読み込ませ、実際の作業を進めていく。これらの建機は多くの部分が自動化されているため、熟練作業者でなくても扱いが簡単た。

ほかにも、工事開始後に計画に狂いが出てもすぐに修正できるよう、スマホやタブレット端末で毎日施工状況を把握できるシステムなども用意している。作業の無人化や遠隔地からの工程管理が進展すれば、災害後には危険が残る地区の迅速な復旧に役立てられそうだ。

作業効率が約5倍向上

コマツの当座の目標は、スマートコンストラクションのサービスをバネにICT機の市場導入数を1500台にまで高めることだ(現在は約300台)。関連の売上高も「早期に100億円を達成したい」(大橋社長)という。まずは工事現場の作業者不足が深刻化する国内に的を絞り、グループ内のレンタル会社、コマツレンタルを通じて展開。その後は海外市場への導入も見据える。

事業者にとってのメリットはどれほどあるのか。スマートコンストラクション推進本部の四家千佳史(しけ・ちかし)本部長は、「現場での作業効率が4~5倍は上がる。だからといって価格が一般建機の5倍になるということはない。削減できたコストの部分を、お客様とコマツで享受したい」と話す。

 「工事が始まる前から終わるまで、工程のすべての中で、建設現場で稼働する機械だけでなく、人や土までもをICTでつなぐ」(四家本部長)。今後も面白い機能が追加されていくのかもしれない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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