黒田日銀総裁の後任は現副総裁と前副総裁が有力 リフレ派一辺倒からバランス型にシフトか

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黒田東彦日銀総裁(3月18日)Source: Bloomberg

政府タカ派と日銀ハト派という異例の事態

物価目標達成まで現行緩和を続ける方針の日銀と段階的に利上げを進める姿勢の米国との方向性の違いを背景に、約20年ぶりの1ドル=130円台が視野に入りつつある。鈴木俊一財務相は価格転嫁できず賃金も伸びない環境で進む円安は「悪い円安と言える」とし、原油など原材料価格が高騰する中での円安は「デメリットをもたらす面が強い」との認識を示している。

一方、黒田総裁は円安は全体として日本経済にプラスとの評価は変えていないとしつつも、「非常に大きな円安とか、急速な円安の場合はマイナスが大きくなる」とし、マイナス面も考慮する必要性に言及し始めている。政府が円安警戒を強める中で、発言のトーンを変えた形だ。

ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明チーフエコノミストは「政府は参議院選挙を控え、物価高を抑制すべく円安是正を希望しており、政府と日銀の間の温度差が目立つ」と指摘する。政府がタカ派(金融正常化)、中央銀行(日銀)がハト派という対立は異例とし、「黒田総裁の後任は政府とのバランスが重要なポイントになる可能性がある」とみる。

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著者:伊藤純夫、藤岡徹

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