早く帰る若手が許せない?「厳しい勤怠管理」以前にすべき重要なこと 教育計画や所見、風土など改善点は山ほどある

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自分たちの常識が実は世間の非常識だった、なんてことはどの業界でもよくある話。学校現場でも、従来のやり方に固執してしまい、働き方や授業の改革が進まないケースも多いのではないだろうか。そこで本連載は、「ココを変えればもっと学校現場がよくなるかも!」といった提案を、田中光夫先生の“フリーランスティーチャー”ならではの視点でお届けする。第17回は、座談会の後編。今回も、公立小学校の正規教員を経て独立し、さまざまなスタイルで働く4名のフリーランスティーチャーが語り合う。フリーランスが考える、「新時代の教員の働き方」とは?

すぐ廃止できる業務はある!仲のよさも働き方改革の秘訣?

田中先生前回は「フリーランスって実際どうなの?」という点を中心にお聞きしましたが、今回は教員の理想の働き方についてお話しできたらと思います。早速ですが、教員の働き方改革の現状をどうご覧になっていますか。

九貫先生 上の世代に、古い体質のままの教員が少なくないなと感じます。先日も50代後半の教員が、「20時に職員室に誰もいない」と怒っていました。習い事で17時に帰る若手や、疲れたからと帰る若手が許せないそうです。そんなふうに、根性主義で子どものためにどれだけ時間をかけるかに価値を置く層が一定数いるのですが、働き方改革を実現するには彼らのマインドセットが必要だと考えます。

九貫 政博(くぬき・まさひろ)
文部省(現・文部科学省)の在外教育施設派遣教員として在マレーシア日本大使館付属クアラルンプール日本人学校に3年間勤務、東京都教育委員会の「教師道場」リーダーを2年間担当するなど、東京都公立小学校教諭を30年間務め、2018年にフリーランスに転向。現在、小学校講師、教員指導講師、セミナー講師、コミュニケーショントレーナー、私塾運営などマルチに活動。マジック、音楽、イラスト、少林寺拳法など特技も多岐にわたる
(写真:九貫政博氏提供)

また、すぐに廃止できる業務はあるので、洗い出してやっていけばいいと思います。例えば、公立の学校はどこも分厚い教育計画を作って製本していますが、1年間でこれを開く機会は大してありません。精査して必要な数ページを印刷し、残りはパソコンに入れておけばOKなものです。これは今勤めている学校の若手教務主任に提言したのですが、来年実行されるようなのでどの学校でも着手できることだと思います。

通知表も発行するか否かも含めて学校現場に判断を委ねられています。発行をやめるのは難しいかもしれませんが、所見を見直すことはできます。なかなかここに手をつけないですよね。

堤先生 管理職の中には、所見が大好きな方々がいらっしゃいますからね。所見で先生を評価するような管理職もいます。

九貫先生 今は道徳、総合的な学習の時間、英語、総合所見と4種類もあって大変。こんなに書く必要はないですよね。総合所見だけにしてほかの要素は必要に応じて書くとか、所見は書かずに面談で伝えるとか、簡略化はできるはずです。

田中先生 僕、九貫先生の所見を見せてもらったことがあるんですが、感動の内容なんですよ。全国の皆さん、すごい所見を書く先生が減らしてもいいとおっしゃっています!

教育計画や所見のあり方は見直せるのでは?
(イラスト:田中光夫氏提供)

堤先生 総合所見も1行か2行でいい。ただ、所見をなくすなら、日頃から保護者に子どもの様子を伝えるすべを持っておかなければいけないと思います。僕も親だからわかりますが、学校での様子ってほとんど見えません。日頃の伝達もなく所見が2行になったら保護者はたぶん怒るでしょう。

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