
横浜国立大学院卒。青年海外協力隊を経て、11年間公立小学校教員を務める。文部科学省英語教育推進リーダー、小学校英語教科書著作者、横浜市カリキュラムマネジメント策定委員などを歴任。モットーは、「温かい関わりの中で、子どもは育つ」。2020年3月に退職し、三重県にUターン。実家である浄土真宗高田派大仙寺の僧侶となり、子どもが生き生き学ぶ寺子屋を開設。ワークショップ専門のNPO法人WAKUTOKI副理事長。2児の父
(写真:堤真人氏提供)
例えば正規教員時代、僕は毎月1人1回のペースで、保護者宛てに子どもの様子を一筆箋に2行ほど書いて渡していました。あと、暇なときに「今日こんなことがあったんです」と保護者に突然電話したりして。こういうことって大事ですよ。仕事を楽にすることと子どもとつながるチャンネルを減らすことを一緒にしてしまうと、間違った働き方改革になると思います。
田中先生 ESD(持続可能な開発のための教育)推進校の横浜市立永田台小学校では早く帰れたそうですが、どうやって仕事を効率化されていたのでしょうか。
堤先生 17時には帰れましたね。当時校長だった住田昌治先生(現・湘南学園学園長)が働き方改革を進めてくださったことも大きいですが、いちばんは教員同士の仲がとてもよかったことにあると思います。仲がいいと子どもたちのトラブルを迅速に解決できるんですよ。
例えば朝に保護者から連絡帳を通じて相談があった場合、学年主任がすぐ午前中に対応するプランを立て、チームワークで実行することができる。放課後からの対応はエンドレスになりがちですが、早めの対応は保護者もうれしいからトラブルが大きくなりません。
だから僕は研究主任をしていたとき、職場の雰囲気をよくする取り組みばかりやっていましたね。24時間の理想のスケジュールを書いて開示し合うなど、相手を深く知るワークショップをたくさんやりました。「あの先生は17時に子どもを迎えに行かなきゃいけないのか」と思いやれる雰囲気がつくれると、みんなが働きやすくなっていきます。
働き方改革は重要、しかし「定時帰宅の強制」には問題も
田中先生 「#教師のバトン」についてはどう感じましたか。
堤先生 共感しかないです。先生が悪いわけではないし、そういうところでしか吐き出す場がないほどストレスがたまっているのでしょう。でも、永田台小のように定時帰宅でも研究校がつくれたケースはあるし、働き方を改善する余地はあると思います。
順子先生 私とみっちゃん(田中光夫先生)は今私立で働いていますが、私立の先生も割と遅くまで残っていますよね。
田中先生 僕は15時30分に退勤してしまうのでよくわからないのですが……。
順子先生 みっちゃんは、おうちに持ち帰っている仕事もあると思うのですが、私は学校のことは学校で完結したいので、それなりに定時後も学校にいます。その中で、正規の先生が遅くまで残っている様子を目にします。

公立小学校教員として29年間勤務。2020年4月より、学級経営、メンタルヘルス、生産性向上に関する情報発信をスタート。21年1月からはフリーランスティーチャーとして現場復帰。子どもたちと日々未知なることにチャレンジ中。日本イエナプラン教育協会イエナプラン専門教員、ワークショップデザイナー、マインドマッパー。現在、YouTube「junjunblog」、Podcast「“学ぶ”をHAVE FUN!!」で情報を発信中
(写真:田中順子氏提供)