早く帰る若手が許せない?「厳しい勤怠管理」以前にすべき重要なこと 教育計画や所見、風土など改善点は山ほどある

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ちなみに僕が地元に帰ると決めたとき、小学校の教員を選ばなかった理由は教員採用試験にあります。正規教員の中途は、筆記、体育、水泳、ピアノなど新卒と同じ試験をやらなければいけないんです。これでは地元に戻りたい、もう一度正規でやりたいという人にはハードルが高すぎます。

正規の教員が別の所に移りたい場合は、面接と模擬授業だけにするなど、一般企業の転職に近い形にすることが必要だと思います。教育現場も採用のあり方を変えないといい人材は取れないですよ。

田中先生 地元の大学の教育学部が教委や校長の天下りの温床みたいになっていて、新卒を重視した採用が固定化しているところもあります。そんなふうに即戦力の活用に乗り遅れる地方は今後きついでしょうね。

東京で現職教員の採用試験を始める自治体も出てきています。例えば福岡県は、1次試験免除で面接と模擬授業だけにしたら、東京のハイレベルな人材を採用できるようになったとか。正規教員の経験が10年以上ある僕たちみたいなフリーランスも条件が合えば「地元に帰りたいな」と思ったときに公務員に戻るかもしれない。地方ほど、即戦力の活用や人材の多様化には採用の柔軟化が必要ですよね。

順子先生 働き方の多様化も必要かなと思います。公立の先生にも副業OKにしてあげてほしい。教員以外の仕事で学ぶことはいっぱいあるし、子どもにもいい影響があると思います。

堤先生 僕も教科書の執筆はやりましたけど、これは学校の延長。ほかにも実家が農家やお寺、不動産など、限定的な副業は認められていますが、もっと違う分野の副業ができたほうがいいです。出会う人も変わってきて視野が広がるのではないでしょうか。

九貫先生 副業は全面禁止にする必要はないですよね。信用失墜に当たらないような枠がきちんとあれば、もっと学校も世の中も面白くなる気がします。

【フリーランスティーチャー座談会 前編】
必要な資質や実績は?強み生かして働く「フリーランス教師」たちの本音 辞める前に知っておきたい独立の実態を暴露

田中光夫(たなか・みつお)
1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中光夫氏提供)

(文:編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:USSIE/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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