必要な資質や実績は?強み生かして働く「フリーランス教師」たちの本音 辞める前に知っておきたい独立の実態を暴露

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教員のメンタルというとネット上にはネガティブな情報が多いですが、私は休職を経て肩の力が抜け、本当に仕事を楽しむことができるようになりました。そんな教師もいるんだということを伝えたくて、現在YouTubeとPodcastで情報発信をしています。こうした自由な発信は、公立の正規教員では難しかったことです。

一方で、やっぱり授業もやりたいなあと思うようになって、みっちゃん(田中光夫先生)の紹介で21年1月から現場復帰しています。昨年度は1年生、今年度は2年生の担任をしています。

田中先生 順子先生のように即戦力となる方が戻ってきていただけるのは、教育現場にとってとてもありがたいことです。

フリーランスティーチャーのメリット&デメリットとは?

田中先生 実際にフリーランスになってみて感じるメリットやデメリットは何でしょうか。

九貫先生 メリットは、働き方をある程度カスタマイズできる点ですね。僕は今、小学1~6年生まで16クラスで教えていますが、すべて国語の授業を担当しています。大好きな国語の授業に専念できるのは、ストレスがなくとてもいい環境です。

田中先生 小学校の国語は時数が多いから、九貫先生みたいなプロフェッショナルに入ってもらって学校はすごく助かっていると思います。

九貫先生 国語は時数が多いので、こちらも「国語だけやりたい」と言うと交渉がしやすいですよ。あと、16クラス、計500人くらいの子と会っているので毎日が本当に楽しい。どのクラスもそれぞれのよさがあるし、若い先生からベテランの先生までいろいろな人と情報交換できるのも楽しいです。校務分掌がないのも時間講師のいいところ。身分保障に関して一抹の不安を感じるときはありますが、とくにデメリットは感じたことがないです。

田中先生 九貫先生は、会計年度任用職員になって変化はありましたか。ボーナスが出るなどいくつか変更がありましたよね。

九貫先生 時給やボーナスの有無はもともと自治体によって違います。精査はしていませんが、僕は会計年度任用職員になってボーナスは減った気がします。でも、副業は問題ないし、働き方も待遇もとくに変わらないと感じています。ただ、準公務員のような扱いになったので、国民健康保険一択ではなく、公立学校共済組合も選べるようにはなりましたね。

堤先生 保険って大きいですよね。僕は高額療養費制度の利用が必要な持病があり、教員のときは共済でほぼ医療費が返ってきたのですが、国保になってからはほとんど返ってきません。横浜市はボーナスもよかったですし、正規教員を辞めてから「公務員って安定していたな」と思うことは結構あります。妻が教員で、彼女が安定してくれているからこそ、小さい子どもがいながらも僕は今の働き方を選ぶことができています。

順子先生 私も不安定さは感じますね。フリーランス2年目かつ、収益の大きい副業は持っていないので。一方、情報発信など好きなことに時間を費やせる点は、やはりフリーランスならではのメリットだと思います。

また、1年契約だと、何をやりたいのか真剣に考えて毎年更新していけるのもメリットかなと思います。私はこの1年、「次の4月から何をしたいのか」ということを自問自答するようになりました。「担任をやりたい」という気持ちが明確になったし、どこかのタイミングで臨時的採用教員として公立小学校に戻ることも考え始めています。

田中先生 やはり、保障は減るけど自由度は高まりますよね。

堤先生 僕はフリーランスって副業できるのがいちばんのメリットだと思うのですが、残念なことに今の場所で学校現場に戻ろうとすると、副業ができない常勤講師の枠しかありません。週3日の寺子屋の合間で時間講師をしたくて講師の登録をしていますが、退職された先生が再任用で非常勤を選ぶのでなかなか枠が回ってこないんです。

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