日本の農林水産業 成長産業への戦略ビジョン 八田達夫、高田眞著 ~政策の誤りによる農林水産業の衰退


 林業は、膨大な補助金がつぎ込まれているが、市場の失敗対策としての視点に欠けるため、生産性向上にまったく役立っていない。公共財としての路網(作業道)整備や林地情報の徹底的な公開など適切な対策が採られるなら、国際競争力を獲得することが可能としている。

水産業では、乱獲によって沿海の資源が枯渇し、いわゆる「共有地の悲劇」が生じている。適切な漁獲量規制を導入している国々では、漁獲量が大幅に改善し、所得水準の高い産業となっている。

本書で示された規制改革案は成長戦略の一つになるだけでなく、つねに政治的な問題であった地域間格差問題の解決にもつながる。農林水産業を衰退産業と誤認し、誤った政策を続けてきたことが、地域間格差の真の原因なのではないだろうか。

はった・たつお
政策研究大学院大学学長。1943年生まれ。国際基督教大学(ICU)卒業。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。ジョンズ・ホプキンス大学、大阪大学、東京大学、ICU各教授を経る。

たかだ・しん
信金中央金庫信金業務支援部調査役。1974年生まれ。97年信金中央金庫入庫。内閣府出向、信金中央金庫総合研究所主任研究員などを経る。

日本経済新聞出版社 2520円 286ページ

  

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