近鉄、新たな観光列車で挑む「首都圏攻略」大作戦 京都―奈良―大阪間、知名度向上でJR西に対抗

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

内装は青の交響曲と同様、大人向けの落ち着いたデザインで、老舗ホテルのラウンジといった趣がある。ただ、配色は青の交響曲よりも明るい。2人用のツインシートで構成される1、3、4号車は紫色の絨毯と黄緑色のシートという組み合わせだ。黄緑色は古都・奈良を見下ろす若草山の新緑のイメージだという。

逆に3〜4人用の半個室で構成される2号車はシートが紫で絨毯が緑色だ。他社の観光列車では車両ごとにまったく違う色を使っているケースもあるが、「電車としての統一感を維持したかった」と鉄道本部技術管理部の福田尚弘課長が話す。

シートは家具メーカーに特注

製造費用は約3.3億円。青の交響曲は3両編成で2億円だったので、1両当たりの製造費用はあをによしのほうが高額だ。この理由について福田課長は、「内装にかなりこだわったから」と説明する。とくに力を入れたのはシートである。鉄道車両向けシートを手がけるメーカーではなく、鉄道とは無縁の家具メーカーに特注した。同社製のいすに出会って、「座った人を包み込むようなデザイン。一目惚れした」(福田課長)。

特急車両のシートはリクライニング機能が付いていることが多いが、このシートにリクライニング機能はない。しかし、座り心地は抜群だ。「ホテルのラウンジのいすにはリクライニングはありませんよね。それと同じ」。

ただ、本来なら家具として使われるいすを鉄道車両に使うためには、強度などの安全面において家具とは異なる性能が求められる。むろん、その点については近鉄サイドで万全の対策を施している。

1、3、4号車のシートは、片側は2つのシートが対面で向かい合っているが、もう一方の側は45度の角度で向かいあう。こちら側の窓からは平城京跡の大極殿やなどの名所が見える。45度という角度はさまざまな角度を試した結果、結果決まったものだ。

次ページシートの座面すれすれまで窓を拡大
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事