手放せぬ既得権益「文通費改正」与野党合意の欺瞞 国会議員の「第2の給与」、使途公開など先送り

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協議会後、寺田氏は記者団に、1966年に文通費の位置づけが「国民との接触、交流に関する活動の強化」と改正されたことに言及。「当初の原案から『接触』の2文字を抜いたもので法文化しようという形になった」と説明した。

さらに、今後の協議については、「『使途』の議論を本格化していく」と強調。その一方で、4月24日の参院石川補選で「昨年の衆院選と同じようなことが起きる」と指摘し、それまでの日割り支給法制化の必要性を確認した、と説明した。

ただ、使途公開と未使用分の国庫返納について法制化を求める維新・藤田文武幹事長が、「『日割り』を先行してお茶を濁し、『使途公開』の議論に至らないような意図があるのならば、言語道断だ」と牽制。共産・穀田恵二国対委員長も「使途を広げようという動きがある」と抜本的な見直しを主張した。

橋下氏は「とんでもない」と怒るが…

そもそも、文通費は議員の国会での活動を支えるための経費だが、協議会で合意した改正案は、多くの議員が選挙活動などにも使っている実態の合法化ともみえる。このため、政治資金問題を研究する上脇博之・神戸学院大教授ら有識者は「選挙などの政治活動に充てるのは目的外支出で、横流しを正当化しようとしている」と批判した。

確かに、新たな名称に「広報」を入れ、使用目的に「国民との交流」などの文言を入れたことで、議員の日常の飲食への支出も、認められることになり、「日割り支給実現論に便乗した、ご都合主義の見直し」(上脇氏)との批判は免れない。

与野党協議会での本格協議は今年2月に始まり、3月24日に法律上の文通費の「目的」を変える方向でおおむね合意していた。その結果、今回の基本合意に至ったわけで、その経緯をみるかぎり、最大の問題点の「透明性」確保には各党の及び腰の姿勢が目立つ。

今回の合意について、維新の創業者の橋下徹元大阪府知事は、10日の民放情報番組で「びっくりした。使い道を広げ、使途公開は先送りなどとんでもない」と怒りをぶちまけた。しかし、維新の対応も含めて、政党助成金の受け取りを拒否してきた共産党以外は「同じ穴のムジナ」(共産党幹部)というのが国会議員の実態といえそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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