ロシア・ルーブルにも負けつつある日本の「円」 「トルコ中銀の独自理論が招くリラ安」に類似も

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ちなみに名目実効為替相場を例に取って、2010年平均を100としたとき、トルコ・リラの現在の価値は12程度であり、10年余りで通貨価値が9割も失われている。もはや紙幣や硬貨は紙屑や鉄屑と比較されうる次元である。過去1年に限定しても、価値が半減するなど「通貨の信認」が毀損するという点に関し、トルコ・リラは異次元の存在である。

トルコ中銀と日銀の類似性

しかし、トルコ中銀の奇異な政策運営は、理論はともかく結論として、「インフレでも緩和を止めない」という点で、現在の日銀がやっていることと共通している。もちろん、日本がトルコほどのインフレに見舞われているわけではなく、また、利下げという振り切った対応に着手しているわけではないので両中銀の立ち位置にはまだだいぶ距離がある。

とはいえ、すでに慣れ切ってしまっている感もあるが、中銀が長期債市場に介入して金利水準をペッグするという日銀のイールドカーブコントロール(YCC)は世界的にも特異な枠組みである。

通貨安が物価高の背中を押し、実質的な所得環境悪化が懸念される状況でも長期債の無制限購入を通じて金利の低め誘導を図るのだから、当然金融市場は「円売りは日銀のお墨付き」という解釈をするだろう。実際、日銀が指値オペ(0.25%で国債の無制限の買取を行う)を通告した日に、円は125円をつけた。

そうした政策運営は実体経済の改善を図るためには適切な措置だというのが日銀の主張だが、エルドアン大統領も本気で利下げがインフレ抑制に寄与する適切な措置だと信じている。「インフレでも緩和を止めない」という最も本質的かつ例外的な部分で両者は共通しており、その状況が通貨売りの背景にあることは否めない。

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