「京王ズ」上場廃止危機、光通信はどう動く? 不正会計が解決せず、タイムリミットに

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京王ズは2013年10月期末時点では、創業者とその資産管理会社が合計で約28%を保有、経営する携帯ショップの上位代理店が光通信であるという関係で、光通信が約15%を保有する2位株主だった。

しかし2014年1月、代理店手数料を巡って光通信と対立。当時の京王ズ経営陣は、一次代理店を家電量販店大手のノジマに乗り換えようと、ノジマへの大規模な第三者割当増資を企図。光通信は増資差し止めで対抗したが裁判所は京王ズに軍配を上げた。ところが、ノジマがあっさり下りてしまったため、結果的に光通信は“制圧”に成功した。

この後、光通信は、創業者とその資産管理会社から全保有株式を買い取るためTOBを実施。一般株主からも多数の応募があり、現在は78.11%を保有する圧倒的な支配株主になっている。

内部調査の結果、多くの疑義が判明

子会社化後の昨年7月、光通信は自社の幹部を送り込んで役員を刷新するとともに、外部機関を入れて京王ズの内部調査に着手。その結果2011年の決算修正後から現在に至るまでの数々の疑義が判明。創業者への貸付金の回収可能性に関する処理の疑義だけでなく、2011年の決算修正後に就任した社長を通じた資金流出を示唆するような指摘もされている。

内部統制の専門家は、「2011年に発覚した不正は刑事事件にならなかったことが不思議なほどのレベル。今回は外部機関がある程度の証拠の洗い出しをした上で、仕上げの部分を社内調査委員会が担うのだろうが、本来は社内ではなく社外の第三者委員会が調査を行うべき」だと指摘する。

さらに、社内調査委のメンバー4人のうち2人は弁護士で、2011年の決算修正後に追加した社外監査役でもある。「2人の監査役がどれだけ努力をしたか、つまり、かなりの努力をしたのに、会社側が彼らを欺くありとあらゆる手だてを尽くしたのか、それとも2人が何もしなかったのか、そこも重要なポイント。ただ、これだけのことをやった会社の監査役になる以上、相当な覚悟を持った上で強い疑いの目をもって業務に当たるべき。(1月9日に開示した)中間報告書をみると、監査役会もそれなりに努力をしていたようだが、いずれにしても調査対象になることので、本来は調査側のメンバーになるべきではない」と言う。

この点について会社側は「外部機関の調査に時間がかかり、時間的な制約がある中で、社内の事情に通じていて、なおかつ経営側と一定の距離がある人材として選任した」としている。

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