新幹線"開業前倒し"は日本に何をもたらすか 北海道は5年、北陸は3年の延伸前倒しが内定
白山車両基地―敦賀間の着工が認可されたのは2012年だが、その2年以上前の2009年には福井駅は北陸新幹線に対応するように整備されている。これらの事実から判断しても、新幹線に対する地元の熱意は非常に強いことがわかる。
「終着駅となる金沢に今後さらに経済活動が集中し、福井から消費や経済機能が流出するおそれがある」と、福井県では分析している。それだけに、金沢との格差が広がる前に、一刻も早く福井にも新幹線効果を浸透させたいというのが本音だろう。
"福井前倒し"に国交省は及び腰
だが、国土交通省の幹部は、福井先行開業について「技術的な課題がある。具体的には、まず工期が間に合うか。そして、通過駅を前提としている福井駅をターミナル駅にできるか」と、慎重姿勢を崩さない。
敦賀開業までの間、福井駅を終着駅とする場合、折り返し機能や終電後に車両を留置するための車庫の設置が必要となる。白山車両基地のような大掛かりなものでないにせよ、その建設コストは小さくない。
14日の検討委員会でまとめられる政府・与党の合意文書には、「福井駅の早期開業に関して今夏までに結論を出す」という文言が盛り込まれる見通し。実現可能性について、政府・与党内で今後あらためて話し合われることになる。
新幹線の前倒しを歓迎する声は大きい。だがその一方で、新幹線の“負の側面”も5年前倒しになる。
北海道新幹線の札幌開業時には、新幹線と同ルートの在来線、函館―札幌間のうち、利用者の多い小樽―札幌間は引き続きJR北海道が運営するものの、利用者の少ない函館―小樽間は並行在来線としてJR北海道から経営分離されることになる。「並行在来線区間をどうするのかという決断も5年前倒しする必要がある」と、函館商工会議所の担当者は気を引き締める。
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