9日に行われた韓国大統領選で勝利した前検事総長の尹錫悦氏。政治経験がほとんどないまま出馬した新トップの横顔を追った。
2022年3月9日に行われた韓国の大統領選挙。新大統領に就任したのは、最大野党「国民の力」候補で、前検事総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏だった。
尹氏は、与党「共に民主党」候補で、前京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏と大接戦の末、得票率でわずか1%未満の差で辛くも大統領の座を得た。
尹氏はこれまで、検事など法曹界で人生を送ってきた。政治経験がほとんどないまま大統領選に出馬を表明したのが、わずか8カ月前のこと。その後、最大野党の公認を受けたが、今でも自ら「初歩政治家」と公言する人物だ。尹氏とはいったいどんな人物なのか。
経済学者志望から検察官へ
「私は韓国の政治を知らない」「政界には何の借りもなく、政治家と徒党を組むこともない」――。
大接戦の末、勝利を手にした尹氏は、検事総長まで上り詰めた検察官という経歴のみを携えて政界入りした。1987年の民主化以降、政治家としての経験がないままに大統領に当選したのは尹氏が初めてだ。
韓国の大統領は1期5年のみで再選が許されない。これまで行われた大統領選の結果から、韓国政界にはいくつかのジンクスがある。
①首相(国務総理)経験者は大統領になれない、②現任と同じ党名で大統領選挙に挑戦すると、その党名の候補者は当選しない、③ソウル首都圏・京畿道知事は大統領になれない、④ソウル大学法学部出身者は大統領になれない、⑤10年ごとに保守と進歩(革新)政権が交代する、といったものだ。
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