韓国の新大統領が直面「不動産高騰と失業」の難題 政策に新鮮味ないが、高まる現政権への不満

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5月に大統領に就任する尹錫悦氏は選挙期間中、不動産価格の是正や雇用拡大などを訴えた。今後5年間の経済運営はどうなるのか。専門家に聞いた。

大統領選に勝利後、支持者らをねぎらう尹錫悦氏(写真:EPA=時事)

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2022年5月に大統領に就任する尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏。経済活性化や雇用の拡大など、韓国経済の課題をうまく改善し、経済を発展させることができるかどうかが注目されている。
尹氏が選挙戦で訴えた経済分野の公約は、高騰する不動産価格の是正や雇用拡大、規制緩和などだった。また、コロナ禍の影響を受けた自営業者や零細企業への収入保証も打ち出している。
とはいえ、これらの公約は文在寅(ムン・ジェイン)政権の政策とそれほど変わらず、かつ目立ったものではない。今後5年間、尹次期大統領の経済運営はどうなるのか。韓国経済に詳しい大東文化大学経済学部の高安雄一教授に聞いた。

尹氏の公約に新鮮味はなかった

――経済政策は韓国の有権者にとって最も気になるところです。対抗馬となった与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補を抑えて、尹氏が勝利しました。両者の公約にどんな違いがあったのでしょうか。

経済分野の公約では、李氏のほうが目立っていた。尹氏のほうは地味、よく言えば堅実な内容と言えるだろう。李氏は国民に年間25万ウォン(約2万5000円)の基本所得(ベーシックインカム)の支給、さらに19~29歳の若者層にプラス100万ウォン(約10万円)を支給するという公約を打ち出した。これはインパクトのある公約だった。

一方、尹氏は不動産対策に力を入れていた。ほかの経済公約も手堅いものが多く、新鮮味がなかった。それでも尹氏が当選したということは、現在の文在寅政権の不動産政策にそうとうな不満があったということだろう。

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