最大野党の尹錫悦氏が選ばれた韓国の大統領選。日本やアメリカとの関係は本当に好転するのか。慶應義塾大学の小此木政夫氏に聞いた。
アフガン侵攻と同等の重大事件
――尹氏が当選し、政権が交代することになりました。
今回の大統領選の結果は、韓国国民のきわどい選択だった。今後の国際関係を考えると、日米との関係を重視すると訴えた尹氏が選ばれたことはよかったのではないか。ウクライナ事態に起因する国際システムの変動に対応できるようになった。
――そのような変化に対応できる人でしょうか。
2月24日に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻は、世界情勢にとって重い意味を持つ。1950年の朝鮮戦争ほどではないにしても、1979年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻と同じぐらい重大な事件だ。
当時も農産物の輸出禁止やモスクワ・オリンピックのボイコットなど、ソ連に厳しい制裁が課され、世界政治のブロック化が進んだ。「新冷戦」と呼ばれた。今回のウクライナ侵攻はプーチンにとって失地回復にすぎないが、それが冷戦を復活させようとしている。
では、今回出馬した与党「共に民主党」の李在明候補は、そのような変化に対応できただろうか。
李氏は選挙期間中、文在寅政権の融和的な北朝鮮政策を継続しようと訴えた。しかし、その北朝鮮はロシア非難に反対する数少ない国になった。しかも、ロシア軍のウクライナ侵攻以前からミサイル試射を続け、アメリカと韓国側との対話拒否を明確にしていた。ということは、ブロック化が進む世界の中で、その潮流に逆行する候補者だったということだ。
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