FRBが「実はタカ派になっていない」明確な根拠 みずほ証券の大橋英敏ストラテジストに聞く

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市場はFRBがタカ派に転換したことを織り込みつつある。しかし、金融引き締めを本当に実行していくのか。みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは疑問を呈する。

昨年暮れから急速にタカ派化したとされるパウエル議長だが、本当にそうなのか(写真:EPA=時事)

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FRB(連邦準備制度理事会)が昨年末からタカ派の姿勢を強めてきたことで、金融市場が揺れている。金融政策の転換がバブル崩壊や景気のオーバーキルをもたらすとの懸念も生じている。
世界の債券・金利や債務・クレジット市場に詳しく、長年、バブルの形成・崩壊をウォッチしてきた、みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストにアメリカ、中国のリスクなどを聞いた。

FRBはなぜ緊急利上げをしないのか

――FRBがここ3カ月ほどタカ派の姿勢を示してきたことで、株価は調整色を強め、このところはシーソーゲームになっています。

おおはし・ひでとし/みずほ証券シニアエグゼクティブ兼金融市場調査部チーフクレジットストラテジスト。2015年12月よりみずほ証券。同志社大学卒業後、日本生命保険で運用に携わる。2000年からモルガン・スタンレー証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)、2012年ジャパン・クレジット・アドバイザリー株式会社を創業。長年、クレジット市場分析を担当。1997年大阪大学大学院で修士号取得(経済学)。『クレジット投資のすべて』等著書多数(写真:みずほ証券提供)

金利動向も大事だが、まずは、ファンダメンタルズを見極める必要があり、FRBもそこを見ている。

私が言いたいことは、FRBは本当にそんなにタカ派なのか、ということ。

インフレが本当に怖いと思っているんだったら、緊急利上げをしたらいい。1月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げしてもよかった。していないでしょう。タカ派、タカ派と市場では言われているけれども、私にはむしろハト派に見える。

CPI(消費者物価指数)は昨年、上昇し続けてもう7%までいったが、依然として政策金利はゼロでFRBのバランスシートも拡大している。ビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)どころの話じゃない。冷静に見てこれはハト的だと思う。

結局、内心では拙速に金融引き締めをやってマーケットを壊してしまうのは嫌だと思っているのではなかろうか。しかし、足元のインフレ状況の中で、バイデン政権からは何とかしろという圧力もありそうだし、マーケットが楽観しすぎても困る。だから、インフレを気にしているよ、引き締めをするよと市場参加者の期待に働きかけている。

でも、市場参加者の意識としても、景気が極端に悪化するというイメージを持っていない。なぜなら今年0.25%ポイントずつ5回利上げしたって、年末は1.25%にしかならない。

それによって、金利が上がってIT関連株が2割ぐらい下げたりするかもしれないが、不況になるとは思っていない。アメリカの潜在成長率は2%~2.5%程度でもあり、そこが利上げの終点だと思われているが、そこまではまだ相当距離がある。

――のんびりしていると、後半に急な引き締めを迫られるおそれはないですか。

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