市場はFRBがタカ派に転換したことを織り込みつつある。しかし、金融引き締めを本当に実行していくのか。みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは疑問を呈する。
FRBはなぜ緊急利上げをしないのか
――FRBがここ3カ月ほどタカ派の姿勢を示してきたことで、株価は調整色を強め、このところはシーソーゲームになっています。
金利動向も大事だが、まずは、ファンダメンタルズを見極める必要があり、FRBもそこを見ている。
私が言いたいことは、FRBは本当にそんなにタカ派なのか、ということ。
インフレが本当に怖いと思っているんだったら、緊急利上げをしたらいい。1月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げしてもよかった。していないでしょう。タカ派、タカ派と市場では言われているけれども、私にはむしろハト派に見える。
CPI(消費者物価指数)は昨年、上昇し続けてもう7%までいったが、依然として政策金利はゼロでFRBのバランスシートも拡大している。ビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)どころの話じゃない。冷静に見てこれはハト的だと思う。
結局、内心では拙速に金融引き締めをやってマーケットを壊してしまうのは嫌だと思っているのではなかろうか。しかし、足元のインフレ状況の中で、バイデン政権からは何とかしろという圧力もありそうだし、マーケットが楽観しすぎても困る。だから、インフレを気にしているよ、引き締めをするよと市場参加者の期待に働きかけている。
でも、市場参加者の意識としても、景気が極端に悪化するというイメージを持っていない。なぜなら今年0.25%ポイントずつ5回利上げしたって、年末は1.25%にしかならない。
それによって、金利が上がってIT関連株が2割ぐらい下げたりするかもしれないが、不況になるとは思っていない。アメリカの潜在成長率は2%~2.5%程度でもあり、そこが利上げの終点だと思われているが、そこまではまだ相当距離がある。
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