インフレ、資産価格高騰の「スーパーサイクル」が逆回転 SMBC日興証券の村木氏が示す2つのシナリオ

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今後の経済シナリオとして村木氏は、スタグフレーション懸念とインフレ懸念後退という2つの経路を想定する。

米FRBのパウエル議長(右)。バイデン大統領はインフレ鎮静化を優先順位の高い政策に位置づけており、もはや利上げを先送りできない状況にある(写真:EPA=時事)

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アメリカのバイデン政権とFRB(連邦準備制度理事会)がインフレ退治に乗り出したことで、2020年3月下旬以降続いた超金融緩和政策による好調なコロナ相場の終焉が明確になった。それを裏付けるように年初からアメリカを中心に株式市場の調整色が濃くなっている。
インフレや資産価格高騰を起こした「スーパーサイクル」の反転は、今後、金融市場にどんなインパクトを与えるのか。この先にどんなリスクが待ち受けているのか。SMBC日興証券の村木正雄シニアアナリストに話を聞いた。

 

――村木さんは、今後の経済シナリオとそれに応じたアセット分野別の市場見通しを提示されています。金融政策の現状認識から教えてください。

まず前提として今後、FRBは相当の金融引き締めを行うだろう。FRBは、すでにインフレだけでなく、完全雇用という目標も達成しつつあり、金融緩和の継続を正当化する理由を失ってしまった。

FRB内からハト派が消えたと言われる。急いで「中立状態」まで戻さないといけないことがコンセンサスとなっている。したがって、失業率が急上昇するような事態が起きない限り、引き締めの方向は変わらない。

――FRBは国債などの購入量を段階的に減らすテーパリングを2022年3月に終了し、早ければそこから利上げを開始(市場は年内計4回の利上げを想定)。さらにその後は、保有資産を減らすQT(量的引き締め)も開始する予定です。株価は調整色を強めていますが、金利の状況は?

確かに、10年国債利回りは2022年に入って少し上昇したが、これは2年国債利回りの上昇に伴うものであり、10年・2年の金利差(スプレッド)
は広がっていない。部材や労働力の供給制約が残る中でFRBが引き締めを行うと、中期的に景気の失速を招くとの見方が強まっているためだ。

供給制約の行方が最大のポイント

そうした金融引き締めが進んでいく中で、重要なファクターになるのは、実体経済における供給制約が早期に解消できるかどうかだ。今後の行方を占う最大のカギであり、それ如何によって金融市場が受ける影響はまったく違ったものになる。

――経済のシナリオ分析では、その視点に沿って大きく2つの経路を提示していますね。

われわれのシナリオでは、従来の「好調な実体経済と低い実質金利」という状態から、「A 供給制約継続:スタグフレーション懸念」と「B供給制約解消:インフレ懸念後退」の2つの経路を想定している。

――それぞれのシナリオについて教えてください。

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