大手化学メーカーには事業の特性上、かねて長期のシナリオ分析をやってきた素地がある。他方で素材を提供する側の宿命として、最終製品をつくるメーカーの動向で需要が増減する“変数”も非常に大きい。
「装置産業なのでサイクルが長い。30年以上動くプラントもある。投資計画は何十年スパンで先行きを考える。TCFDでもそれ(知見)が生かされている」と住友化学のコーポレートコミュニケーション部長の山内利博氏は語る。
ただ、住化はTCFDのシナリオ分析の内容を原則的に「機会とリスク」などの箇条書きにとどめている。財務影響の試算に関する具体的な記述はほぼない。
公表のレベルは、地球の気温が4度上昇するシナリオの場合なら機会として「気温上昇・渇水の環境変化に強い作物の市場拡大」などと状況予測を列挙する程度だ。
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