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ファナックも驚く「車の電動化」が招く需要勃発 山口社長は増産投資に加え工場新設も示唆

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NC装置は受注の急増で業績が一気に回復。生産が逼迫しており今後の対応が問われる。

山口社長はNC装置について「数年単位でみれば、確実に増える」と自信をみせた(編集部撮影)

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米中貿易摩擦やコロナで先送りされてきた製造業の設備投資が一斉に動き出し、工作機械、ロボットなどFA(工場自動化)業界が活況に沸いている。
今後の受注はどうなるのか。工作機械に組み込まれるNC(数値制御)装置で世界シェア1位、産業用ロボットでも世界4強の1角を占めるファナックの山口賢治社長に聞いた。

──NC装置やロボットの受注が急激に回復しています。今後の見通しは?

とくに中国でNC装置の伸びが大きい。米中貿易摩擦以前も順調に伸びてきていたが、今は当時の予想よりはるかに多い要求がきている。(2021年4~6月以降は伸びが一服しており)景気の先行きを不安視する声もあるが、“よすぎた受注”が落ち着いている状態だ。

需要が拡大している背景には、工作機械の中でもマニュアル式ではなく、NC装置を搭載した機械の比率が中国で高まっているからだろう。今後、四半期、年単位ではアップダウンがあったとしても、数年単位でみれば確実に増加する。

(製品の組み立てなどに使われる)ロボットについても以前から高まっていたニーズがコロナを契機に加速しており、想定以上に伸びている。

足元では半導体などの部品が不足し苦労している状況だ。過去にリーマンショック後の需要の急回復や、東日本大震災を経験したので、納期の長い部品など必要な部品在庫を持とうと心掛けていたが、今回の部品不足は予想をはるかに超えていた。サプライヤーとの納期交渉のほか、代替品を入手して、われわれ自身が設計を変更して何とか供給を維持することを最優先している。

──今後は大規模な増産投資も必要になりますか。

ロボットについては既存の建屋での効率化などで、本社地区と筑波地区で月産1万1000台の能力を1万6500台ぐらいまで増やせないかと考えている。

それでもあと数年しかもたない。工場の新設を計画してから建屋を完成させ設備を入れるには、どんなに最短でも2年以上かかる。筑波地区の空き地での工場新設に向けて動き始めないといけない。

栃木の壬生にあるNC装置とモーターの工場も、そろそろいっぱいになる時期が見えてきているので、空き地に新しい建屋をつくる計画を始める段階だ。

──ロボットでどの分野の需要が強いのですか。

大口商談で目立つのは車の電動化関連だ。

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