化粧品の苦戦で業績が停滞する花王。一方、新規事業では「コロナから世界を救う可能性がある」と社長が語るなど、さまざまな技術が芽吹きつつある。

「バスマジックリン」や「アタック」など有名ブランドを数多く展開している(記者撮影)
新型コロナの感染拡大に伴う衛生品特需が一巡し、日用品業界は底力が試される局面に移りつつある。そんな中、日用品で国内2位のユニ・チャームは高付加価値のマスクが牽引し業績が好調の一方、最大手の花王は化粧品の苦戦で業績が低迷している。
競争環境の激化や原料高騰など逆風下で、どのような成長戦略を描くのか。花王の長谷部佳宏社長に聞いた。
値下げは一時のつばぜり合いに勝つだけ
――ウィズコロナで生活者のニーズはどう変わりましたか。
2021年も手洗いなど衛生に対する意識は高かったが、2020年と比べると反動があり、収まった。一方で、手洗い石鹸や消毒液では、ちょっとした付加価値のある商品へのニーズが高まった。
2021年に出した商品でいえば、おしぼりのようなビオレタオルが象徴的だ。除菌成分のエタノールが乾かずに保持することができる。また、食事中に消毒する時、触るだけでよく、手に吹きかける必要がない。ほかには飛び散らない泡で出る消毒液だ。
化粧品は、2021年の年初時点ではもう少し回復すると思っていたが、なかなか難しかった。外出をしないことがベースになると、化粧をする意味がなくなってしまう。特にリップなどのメイクをする機会が極端に減った。(化粧水などのスキンケアに比べて)リップなどのメイク比率が高い当社は影響を受けてしまった。
――コロナ禍で業績は低迷しています。
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