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帝人「注力事業」黒字化未達でも手応えの根拠 鈴木社長「アメリカでの戦闘態勢は整っている」

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主力のケミカル系の事業はコロナ禍からの回復がやや鈍かったが、注力する自動車向け複合成形材料では明るい兆しも見えてきたという。2022年の展望を鈴木純社長に聞いた。

鈴木社長は事業状況の見通しは悪くないとして「株式市場からアンダーエスティメイト(過小評価)されているという気持ちが強い。非常に忸怩たる思いがある」と話す(撮影:尾形文繁)

特集「トップが語る大予測2022年」の他の記事を読む

化学業界ではコロナ禍からの需要回復に伴い、原燃料価格などが高騰。業界では恩恵があった側、痛手を受けた側と明暗が分かれた。帝人は後者で、同社のケミカル系の事業の回復は緩やかだ。ただ鈴木純社長はそうした中でも、これまで打ってきた布石に「手応えがある」と語る。これからの展望を聞いた。

 

――足元の事業状況をどう見ていますか。

私たちが所属している業界は、大きく言えばケミカル系(マテリアル事業)、製薬系(ヘルスケア事業)、それからIT(電子コミック事業=上場子会社が「めちゃコミック」を運営)だ。2020年は、ヘルスケアは割と堅調で、ITは巣ごもり需要で伸びた。一方で、ケミカルの落ち込みがひどかった。

化学業界では、前年からの反動も含め2021年には需要が戻り、その結果ものすごい勢いで原材料費が高騰している。その恩恵を受けている企業も多い。

ただ、私たちは(汎用石化製品などをつくる企業の様に)最初のほう(比較的、川上寄り)から素材を提供する側ではなく、むしろそういう原料を買っている側なので、コストアップの影響を大きく受けてしまっているのが現実だ。その結果、化学の業界の中で見ると戻りが悪いように見えるかもしれない。

――マテリアル事業のなかでも、自動車向け複合成形材料に力を入れています。その中核で、北米最大の複合成形材料メーカーのコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社(現在は新会社のテイジン・オートモーティブ・テクノロジーズに統合)を買収してから5年弱が経ちましたが、成果や手応えはいかがですか。

のれん償却後だとなかなか黒字化が達成できていないが、トップラインが伸びている。これが非常に重要だ。

事業環境で今あえいでいるのは原材料の高騰、半導体不足による自動車生産量そのものの減少、そしてアメリカの労働力不足の3つ。ただ、原材料価格が高騰する中、トップラインが拡大したことで狙い通り(顧客に価格転嫁する)価格交渉力がついてきた。自動車メーカーにはこちらをプレス屋だと思っている人たちもいて、価格が安いところに行こうとする。だが、トップライン拡大でプレゼンスが高まった今、こちらの言い値での優良案件が多く取れるようになっている。そうした手応えがある。

人手不足に対しては、自動化がだいぶ進んできている。新工場はもちろん、既存工場でも自動化を進めている。アメリカでの戦闘態勢は整ってきており、これから数年間、よくなっていく絵が大体見えている。あとは欧州や中国をどう伸ばしていけるかだ。

オミクロン株の影響も

――炭素繊維の航空機向けは、需要の回復にまだまだ時間がかかりますが、足元では新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」も出てきました。

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