回転ずし戦争:スシロー、かっぱ寿司の天下は続くのか?《それゆけ!カナモリさん》
2011年1月14日。その血みどろの争いを象徴するようなニュースが報道された。産経zakzakの記事『回転寿司で下克上!スシローかっぱ抜く「安さ」より「素材」』を見てみよう。
首位陥落である。「かっぱ寿司」はトップ死守を賭け、平日1皿90円のキャンペーンを展開。CMでは宇宙人まで食べに来たものの、2010年下半期(7~12月)の売上高は後発の「スシロー」が前年同期比20%増の462億円と、かっぱ寿司の同9%増455億円に対しついに僅差で追い越した。
さらに、『業界内の競争は激化しており、3位の「くら寿司」を展開するくらコーポレーション(大阪)は10年10月期決算で最高益を記録。「銚子丸」なども業績が好調だ』と業界内の順位は今後もめまぐるしく変わる可能性が指摘されている。
zakzakの記事はこう締めくくられている。『下克上といえば、人気アイドルグループ「AKB48」が有名。メンバー同士が激しく競い合い、昨年実施された人気投票で、大島優子(22)がそれまでトップだった前田敦子(19)を破り、話題になった。回転ずし業界もまさにAKB状態で、同業者同士が日々激しくしのぎを削っている』。
デジャブ感。そう。昨年からずっと話題になっていた牛丼戦争のようではないか。この先牛丼業界のように優勝劣敗が進んでいくとすれば、それでは、回転ずし業界で、どの企業が勝ち残っていくのか。何がカギをにぎるのだろうか。
■回転ずし業界のKSFとは
スシローがカッパ寿司を抜いた要因を、zakzakの記事は、『勝因は「素材の良さ」というから、回転ずしでは安さよりもネタのほうが重視されるようだ』と分析している。確かにネット上ではスシローのネタのよさに対する賞賛が散見される。昨年中ごろから、回転すし業界に限らず、外食産業全般で、「価格競争は行きつくところまで行った。後は質をどう高めていけるかの勝負になる」という論調が目立つ。一方で、「すき家」が「吉野家」を圧倒したことも記憶に新しい。もはや、価格は安いまま、顧客の期待値を遥かに超える質の高いものを提供する、「スーパーバリュー」競争の時代に入ったのだろう。となると、絶対的で継続的なKSF(Key Success Factor:成功のカギ)とは何か。