『カネ儲けがいかに大事か、という話ばかりしていました。』
── 中西宏明 日本経済団体連合会前会長、日立製作所前会長
「お金はなくならないと思っている大企業の人間は実は少なくない。キャッシュの苦労ってしないんですよ。だから、ダメだな、と。2010年に社長になったときには、カネ儲けがいかに大事か、という話ばかりしていました」
カネの大事さ、カネ儲けのシビアさ、をもっともっと知るべきだ、と考えていた。リーダー教育では、こんな話をしていた。
「修羅場をくぐらせることじゃないですか。例えば、海外の孫会社くらいの小さな会社の社長にする。3年間くらい苦労させてから帰す。キャッシュが足りなくて、社員にボーナスが払えないような経験をさせて帰すくらいがちょうどいい」
『居心地の悪い場所に好んで行く。定期的に恥をかく。』
── 為末 大 元ハードル日本代表選手、Deportare Partners CEO
世界陸上で2度の銅メダル。取材で驚いたのは、アスリートたちの努力のすさまじさだった。「スポーツの世界は、みんなが100%の努力をしています。でも、一般社会に出て思ったのは、努力をしている人も多いけど、していない人も多いということ」
追い込まれる状況から逃げてしまう人が多い。それでは自分の限界がわからない。限界からリカバーするシステムも作れない。足りないのは、自分を壊すこと。思い込んでいるものが壊される場所にあえて行くこと。
「居心地の悪い場所に好んで行く。定期的に恥をかくんです。年下の天才に会って衝撃を受けておく。自分が気持ちいい人たちと会っていると、ごまかし続けられるんですよ」
『本当にそうなのか。どうしてそうなのか。つねに、この2つを突き詰めていく。』
── 日色 保 日本マクドナルドホールディングス社長兼CEO
新卒で入社したジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人で、地方拠点の営業職からスタートし、歴代最年少で社長に就任。後に日本マクドナルドに転じた。
「経営に不可欠な視点は、極論すると2つしかないと思っています。本当にそうなのか。どうしてそうなのか。つねにこの2つを問い、突き詰めていく。すると、だいたいの問題について答えは見えてきます」
情報はとにかくインプットする。思考を邪魔するのは、実はノイズではない。最も怖いのは、わかったつもりになること。たとえ既視感のある問題でも、必ずゼロベースで突き詰める。すると、自分の仮説にも論理の破綻があることが見えてくる。
『誰かに憧れることは、強い自発性を引き出します。』
── 今村久美 NPO法人カタリバ代表
学校・放課後・地域・行政など、10代を取り巻くさまざまな環境に、新しい手法で働きかけているNPO法人カタリバ。2001年、慶應義塾大学在学中に立ち上げた。実は小学生の頃から、優等生であったことは一度もないと。地味で目立たず、成績がよかったわけでも、活発だったわけでもなかった。転機は中学のときに文章を褒められたこと。そして、キャンパス見学に出向いて、自分の中にこうなりたいというロールモデルが生まれた。大事なことは、機会だった。
「誰かに憧れることは、強い自発性を引き出します。それさえあれば、学校に通うことも、ボランティア活動をすることも、自らの意思で取り組めるはずなんです」
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