「成功の秘密は会社に執着しないこと」
1978年に宗次德二が郊外で開いた小さなカレー専門店は、20年余りで全国展開の大手チェーンに成長した。その姿を見届けた98年、妻に社長を交代、2002年には浜島俊哉(現会長)に後を任せて経営から退く。そして15年、ハウス食品グループ本社に株式をすべて譲渡した。
──98年に妻の直美さんに社長を交代しました。このあたりから事業承継を考えていたのですか。
いえ、このときは株式を公開するタイミングだったからです。喫茶店を25歳で始めて25年が経ち、50歳になって店舗数も500になった。いろんな意味で節目を迎えているんだなと思ったのです。
それまでもいろんな証券マンが上場を勧めてきましたが、「株主さんのほうを向いた経営なんかしたくないから上場はしない」と断っていました。しかし、いつまでも自分が先頭を切ってできるわけじゃないし、健康上の理由なんかもあって、上場しようと決断したんです。
上場準備に入った段階で、社長を交代しておいたほうがいいだろうと思いました。それまで上場を断り続けておきながら態度を一転させるわけですから、「経営意欲をなくしたんじゃないか」などと言われるのが嫌だったのです。
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