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大手のGCAも殴り込み 狙いは“エコシステム"の形成

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M&A専業としてのこだわりを見せるGCAの渡辺代表(撮影:今井康一)

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大企業のM&Aや海外とのクロスボーダー案件などを手がけるGCAが、2019年6月にGCAサクセションという専門子会社を設立し、中小企業向けの事業承継市場に本格参入した。

ターゲットに据えたのは大型と小型の中間、譲渡金額が50億円規模のM&A案件だ。

中小企業向け事業承継に参入した理由を、GCAの渡辺章博代表取締役は「エコシステムづくり」と説明する。欧米では事業承継が済んだ後、創業家が資金を子孫に残すために、ベンチャー企業に投資する文化がある。その結果、スタートアップ企業に資金が流入し、企業の新陳代謝が進みやすい。そうした資金の流れ(エコシステム)を日本でもつくり、創業者を「リスクマネー供給の担い手にする」というのが渡辺代表の狙いだ。

GCAはすでに、欧州で中小企業向けの事業承継を得意分野にしている。ただ、国内市場は未開拓だった。「事業承継の場合は規模がまちまちだが、案件数が多いので本体の事業と遜色ない収益を上げられるはずだ」(二戸弘幸・GCAサクセション社長)という。目下、コロナ禍で事業承継の需要が高まりつつあり、大きく落ち込んでしまった今期業績の回復に向けて、期待をかけている。

GCAには国内の中小企業向け事業承継市場での勝算がある。渡辺代表は「M&Aでは『誰に買ってもらうのか』ということが重要。海外も含めた大企業とのネットワークがあるGCA本体のチームが売却先を探すことで、中小企業も安心して売却を任せられる」と胸を張る。

件数よりも価格を重視

GCAはM&A専業大手としてのこだわりも見せる。専属アドバイザーとして売り手側からしか手数料を取らないということだ。

現在日本で勢いを増している中小企業のM&Aビジネスは「仲介型」であり、売り手側と買い手側の双方から手数料を受け取る。仲介会社は売却が成立した件数に応じて手数料を受け取るため、売却価格を引き上げることよりも売却を成立させることを優先しがちだ。

その結果、中小企業オーナー(売り手)にとって不利な売却価格で事業承継が行われてしまうことがある。これは本来最優先されるべき顧客である売り手の「できるだけ高い価格で売りたい」という利益を重視しておらず、利益相反になるといわれる(「M&A仲介大手の正体」に詳細を掲載)。実際、経済産業省も今年3月に公表したガイドラインで「1者による仲介は『利益相反』となり得る」と指摘する。

一方のGCAは、売却価格を基に売り手側からのみ手数料を受け取るため、自分たちのためにもなるべく売却価格を引き上げようとする。その結果、売り手にとっても納得いく価格で売却できることが多い。

「われわれが入ったことで売却価格が3倍になった案件もある。売り手側だけの味方になるわれわれならば、企業を安値で買いたたかれることはない」(渡辺代表)と強調する。

同氏は、買い手がつかないような企業の買い取り先を見つける場合などには、仲介型モデルが必要な場面もあると前置きしたうえで、「成熟したM&A市場なら仲介モデルは成立しない」と言い切る。

コロナ禍で傷んだ企業が増える中、海外で培った中小企業の事業承継のノウハウを日本に持ち込み、企業の売り手側だけにつくモデルで事業を拡大させることができるか。GCAの実力が明らかになろうとしている。

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