事業承継のタイミングを失して損をしないためにも、一刻も早く決断すべきだ。
東京都内で小さな印刷会社を営む70代の男性は今年7月、「新型コロナで気がめいるから暑気払いでもしようではないか」と社長仲間に誘われ、飲み会に参加した。
「暗い話は御法度ね」という当初の約束はどこへやら。話題はすぐさま新型コロナウイルスの影響に及び、業績悪化の話はもちろんのこと、あとどれくらい資金が持ちそうかなど、口をついて出てくるのは深刻な話ばかりだった。
そんな中、参加者の一人がぼそっとつぶやいた。
「取引先から聞いたんだが、あいつの会社、倒産して自己破産したらしいぞ」
その会社はここ数年、業績が芳しくなく、新型コロナでついにとどめを刺されたというのだ。
「めぼしい財産は全部持っていかれて、当面の生活費という名目で99万円しか残してもらえなかったらしい。離婚して一家離散だって。倒産は怖いわ」
そんな話を聞きながら、男性は自身の会社に思いを巡らせていた。ここ数年は技術の進歩についていけず、会社を維持していくので精いっぱいだったからだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら