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事業承継を成功させるには「情と理」が必要 インタビュー/PwCアドバイザリー合同会社 M&Aアドバイザー 福谷尚久

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ふくたに・なおひさ 国際基督教大学教養学部卒業後、三井銀行入行。大手金融機関でM&Aアドバイザリー業務に従事した後、現職にて多様なM&A案件にアドバイスを行う。

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週刊東洋経済 2020年9/12号
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銀行員時代から現在に至るまで、100件以上の事業承継に携わってきたPwCアドバイザリー合同会社の福谷尚久パートナー。その豊富な経験を基に、事業承継における重要な20のノウハウを実践形式でまとめた『会社の終活』(共著)を出版した。中小企業の事業承継、中でもM&Aを成功させるための秘訣について話を聞いた。

──中小企業の事業承継、M&Aが活発化しています。

社会的な環境が整ってきたことが大きい。大手金融機関だけでなく、会計士や税理士、専門業者なども知見を得て手がけるようになり、事業承継の世界でもM&Aが普及してきた。その結果、M&Aに対する「乗っ取り」のイメージが払拭され、経営者の抵抗感も薄れてきたのではないか。一方で、法制度も整いつつあり、M&Aが加速している。

『会社の終活』(中央経済社)。実際の事業承継案件を基にしたノウハウが満載(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。)

──大企業のM&Aと中小企業のM&Aとでは違いがありますか。

手法は同じだが、中身は大きく違う。大企業の場合、売却する相手としてふさわしいのは、最も高い価格をつけてくれる企業。しかし中小企業の場合、従業員や取引先を大事にしてくれるかどうかという面も大きい。そういう意味で大企業は「理」だけでいいが、中小企業は「情と理」の両方がそろわなければうまくいかない。

相手をリスペクトする

──そうした中小企業のM&Aによる事業承継を成功させるには、どうすればいいのでしょうか。

売り手にしろ買い手にしろ、「相手をリスペクトする」という点に尽きる。情の部分でわだかまりを残せば、せっかく承継してもうまくいかない。とくに買い手が「助けてやるんだ」といった姿勢で臨むのはもってのほか。互いに尊重し合って進めれば、私の経験上、ほぼ事業承継してよかったと言ってくれる。

──しかし、いまだ会社を手放すことを決断できない経営者も少なくありません。

企業にはさまざまなステージがある。もちろん社長の実力があったからこそ創業もできたし成長もできた。しかし時代の変化は速く、時代にマッチしなくなる時期は来る。そう感じたら手放すタイミングだ。もちろんM&Aは守秘性の高いものだからやみくもに相談できるものではないが、長年付き合いがある金融機関や税理士、もしくは身近で実際に事業承継された人など、本当に信用できる人に意見を求めてみるべきだろう。

──コロナ禍で事業承継は進むでしょうか。

コロナに関係なく、従業員や取引先のことを考えれば、自分に万が一のことがあったときどうするかを考えておかなければならない。それが経営者だ。ただコロナ禍によって、そうしたことに気づく経営者は増えるのではないだろうか。事業承継は、育ててきた会社を発展させるという意味合いもある。勇気を持って決断してほしい。

(聞き手 田島靖久)

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