
「週刊東洋経済」1969年1月18号に掲載された新春対談「政治・物価・道州制・企業」
今から50年前、新春号において松下電器産業の松下幸之助氏と富士製鉄社長の永野重雄氏が対談を行っている。松下電器産業は今のパナソニック、富士製鉄は今の日本製鉄の前身。当時の日本を代表する経営者2人による対談である。
語られている内容は、経済のことではない。政治家の善政意識の低下、中央集権の問題点など。解決策として「憲法のほかに、国の経営方針ともいうべき国是をつくればいい」(松下氏)、「地方分権を進めるため、大阪万博の日本政府館を関西州の州庁舎にすればいい」(永野氏)など、大胆な提言も飛び出した。こうした提言は、50年後の今にも残された宿題といえるかもしれない。
新春対談「政治・物価・道州制・企業」
経済の国際化をはじめ、70年の安保改定を控え、今年は経済・政治・外交あらゆる面で問題の多い年になりそうです。そこで今日は財界のトップに立つお2人に新年の日本の直面する課題について、お話し合いをいただきたいと思います……(本社あいさつから)
失われている〝善政競争〟への意欲、「国是」を設けよ

松下 新しい年を迎えて、何かと考えさせられる問題が非常に多いように思えますね。
永野 まったくそのとおりです。
松下 日本の政治については、いろいろ批判があるものの、しかし、戦後の日本をここまで発展させてきた1つの大きな柱は、やはり政治の力だということはいえると思います。だが今日の政治の姿には、「はたしてこれでよいのか」と問いたくなるような面が随所に見られるといっていいのではないでしょうか。
今年の課題の1つは、この政治のゆがみに勇敢に手をつけていくことではないでしょうか。
永野 日本が終戦後の惨禍から世界を驚かすほどの立ち直りをみせたその背景には、われわれ経済人がみずから経済問題と取り組んだ努力があったことはいうまでもない。と同時に、やはり政治の協力というものがなかったならば戦後の経済成長はこれほど成功はしなかったといえるでしょう。
ところが、お話のとおり、最近の政治の実情というものを見ると、このままでいいのかどうか非常に考えさせられるものがありますね。
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