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佐治敬三「大企業の顔をせず泥臭く行け」 1983年8月27日号で語ったサントリーの生き方

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「週刊東洋経済」1983年8月27日号

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昭和59(1984)年前後の週刊東洋経済に毎号掲載されていたのが「私の自由奔放経営論」という連載。その第7回に登場したのがサントリーの佐治敬三社長(1919 - 1999)だ。タイトルは「大阪商法と文化をブレンド、“健全赤字”のビールで活力養う」というもの。
赤字続きのビール事業を続ける理由はどこにあるのか。その理由を「社内のバイタリティーを維持するため」とおおらかに語っている。長期間にわたる「健全な赤字」は、トップの揺るぎない支えがあってこそ成り立つ。佐治氏も「まあ、よう頑張ったもんです。普通の上場企業で株式を公開していたら、社長が少なくとも5人ぐらい代わっとるでしょう」と語っており、相当なプレッシャーの中で赤字事業を支え続けていたようだ。
ビールの赤字は、その後も続く。サントリーのビール事業が黒字化するのは参入から45年後の2008年のことである。
佐治敬三氏(1980年撮影)

大阪商法と文化をブレンド、

“健全赤字”のビールで活力養う

「やってみなはれ、やってみないとわかりまへんで」。80年余の歴史をもち、グループ全体で売上高1兆円企業のサントリーは、いまなおチャレンジ精神旺盛だ。活力の源泉は何なのだろう。サントリーを率いる御大の佐治敬三社長。お祭りが大好きで、自らトップセールスにも立つ。生っ粋の大阪商人ながら、内外の文化人、学者を集めたシンポジウムでも堂々と渡り合う。この10月から始まる「大阪21世紀計画」にも〝今や、出番やで〟とばかりに情熱を傾ける。大阪商法と文化のブレンダー・佐治敬三氏に「生活文化企業」観を聞いてみた。

 

――ビールを発売して今年はちょうど20周年の大きな節目。涙ぐましい努力でシェア8%を固め、悲願の10%台突入を射程圏にとらえた。赤字のビール戦線に賭ける苦労、気迫が洋酒部門にハネ返り、活力の源泉になっているともいう。今年も7月、社長以下全社員がハッピを着て酒販店応援に駆けつけた。

佐治 今年で数えて8回目の「全社員セールスマン作戦」をやりましたが、これは私が「やれ」といって始めたものではない。ビール拡販が伸び悩んだ50年代の初め、社員の間にも危機感が高まって、何とかこのカベを打ち破りたい、それにはどうやったらいいのかと、社内でアイデアを募集した。その時出た案に、私が「やろうやないか」と乗ったんです。

号令をかけた以上、私も酒屋の店頭に立って、「おおきにありがとうございます」と、やってます。私が何店か回ってもたいして売り上げに寄与するわけでもないんですが、社長が率先して売っているというので、酒屋の意気もあがるようです。

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