銀行や証券会社は手数料の高い商品から勧誘してくる。過度な信頼は禁物だ。
「残された人生ではもはや挽回不能。いいカモとばかりに『資産管理のお手伝い』を持ちかけられて大損害を受けた。今は怒り心頭」。取材に応じた80代の男性は温和で控えめな性格のようだったが、このときばかりは語気を強めた。男性は虎の子の退職金のうち900万円近くを失い、野村証券を提訴している。
東北地方で年金生活を送っていた男性に、野村の営業担当者から連絡があったのは2011年1月のこと。支店を訪れると、通常の窓口ではなく応接室に通された。男性は当時、リーマンショックで生じた含み損を解消できず株の売買を控えていた。そのことを打ち明けると担当者は、「資産管理の手伝いをさせてほしい」と言い、大手銀行の株を購入するよう勧めてきた。男性は「相談できる人がいればそのほうがましかなと思って、付き合いを始めた」と振り返る。
男性が株を購入すると、「ご資産管理のお役に立てますよう精一杯努力する所存」などと半紙に毛筆で書かれた手紙(上写真)が自宅に届いた。その翌週も「塩漬けにしてある株式をすべて処分して、新たな銘柄を買うのです」などと熱心な勧誘を支店で受けた。
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