正体はES細胞、STAPは「捏造」だった

小保方氏は責任を問われないのか?!

図表の間違いも非常に多く、アーティクルと呼ばれる主論文だけでも、捏造と認定されたものが2点、数値の調整が6カ所、取り違えが2カ所、写真の重ね合わせなども含めると合計11カ所。レター論文といわれる第2論文にも、知識不足による明らかな誤り、誤認や樹立したはずの細胞が確認できないなどの問題点が10カ所も指摘されている。

しかも、ほとんどのケースで、小保方氏からの元データの提出はない。そのために、論文データとの照合ができず、不正の有無が認定されなかった。

しかし、「実験データが提出されないほうが不正認定されない、ということは理不尽」。外部調査委員会の報告を受けて開かれた理研側の会見の中で、川合眞紀理事もそう言及した。不正が認定されなかったこと、イコール疑義が晴れた、というわけではない。ES細胞を混入したのは誰なのかということも含めて、不正を認定するための決定的証拠がないだけだ。むしろ科学者にとっては元データを開示しないことこそが、疑念を深める行為といっていい。

14年4月に、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長の14年前の論文に疑念が出された折、山中教授は段ボール5箱分の実験ノートを提出して疑念を晴らした。しかし、小保方氏は、「ES細胞の混入はしていない」というのみで、ついに自らにかけられた疑惑を晴らすことをしなかった。

理研に与えたダメージと費やされた公金

それにしても、世界を巻き込む騒動となっただけに、STAP問題が、日本の科学界に残した傷は大きい。理研にも多大な与えたダメージを与えた。STAP論文の責任著者のひとりであり、小保方氏の指導的立場にあった笹井芳樹氏が自死したことは最大の痛手だ。CDBは解体・再生ということになり、組織再編にも時間とコストがかかる。

不正疑惑の調査のために実際に費やした金額も大きい。内部調査のため費やした研究者という人的資源のコスト。さらには検証実験にかかった1500万円、全ゲノム解析など、今回の外部調査にかかった費用は1400万円。会見の会場費もバカにならない。都心の300人収容規模の会議室は1日で200~300万円程度はかかる。不正疑惑発覚後、都内の大きな記者会見は9回(うち1回は文部科学省内)。

さらに、不正と認定された小保方晴子氏の人件費と研究費用が年間2000万円。研究費については、14年3月ごろから騒ぎが大きくなったため、実質的には13年3月から1年程度しか支払われていないとみられるが、表面化している数字だけでざっと6000万~7000万円はかかっている勘定だ。加えて、内部、外部にかかわらずトップクラスの科学者たちの時間と労力が、この検証のためにどれほど投じられていることか。しかも理研の収入は85%(2013年度実績)が補助金などの公金で賄われている。

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