市況悪化のトラウマから今なお脱しきれない大阪のオフィス市場。
「オフィスの新規供給がここまで少ないのは、初めての経験だ」と驚くのはオフィス仲介大手、三鬼商事の大阪支店長代理の小畑大太氏。大阪では今、オフィスが不足しているにもかかわらず、新規供給が細っている。
大阪市内の大型オフィスの供給は2019年がゼロ。20年も「オービック御堂筋ビル」など数えるほどで、21年も低調だ。
新規供給が少ないのは、リーマンショック後の「大空室時代」の悪夢があるからだ。10~12年、大阪オフィスの空室率は10%を突破し、「壮絶な賃料割引合戦が繰り広げられた」(地元デベロッパー)。
ダメ押しとなったのが13年4月に開業した「グランフロント大阪」だ。当時、首都圏のオフィス市況には回復の兆しが見えていた。だが大阪は空室が目立ち、賃料も低迷。そんな中で23万平方メートル超もの膨大な床面積が供給され、大阪のオフィスビルは飽和状態となった。
グランフロント大阪は、月坪単価2万円台半ばという強気な賃料設定もあだとなり、開業時の契約率が2割という低さ。「満床までそれほど時間はかからないだろう」という楽観的な見通しを立てていた関係者の間に衝撃が走り、「まだ埋まっていないのかとずっと話題になっていた」(別の地元デベロッパー)。満床にこぎ着けたのは17年。竣工から4年が経っていた。
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