日本の不動産業界に新風を吹き込み、破竹の勢いで業容を拡大しているのが米ウィーワークだ。不特定多数の利用者にビジネス環境を貸し出すシェアオフィス運営会社だが、同社はさらに、集まる人同士の交流を促しコミュニティーをつくり、価値の創造を狙うコワーキングスペースとして運営する。
2010年に米ニューヨークで創業し、世界28カ国で展開。日本初進出は18年2月の東京・六本木のアークヒルズサウスタワーだ。その後、大阪、名古屋、福岡などへ進出し、今や日本で18拠点、利用者は1万2000人を突破した。年内に30拠点へ増やす構えだ。

大口の優良顧客だが歓迎一色ではない
ビル1棟やワンフロアを丸ごと借りるウィーワークは、デベロッパーにとっては大口の優良顧客のはず。だが、必ずしも歓迎ムード一色ではないようだ。
「打診が来ても入居はお断りしています」。大手デベロッパーの賃貸ビル営業担当者は言い切った。懸念するのは、「ビル利用者とのつながりがウィーワークに取られてしまう」ことだ。自社のビルを誰がどう使っているかという情報は、デベロッパーにとって貴重な財産。テナントの声をビルづくりに生かせるだけでなく、信頼を勝ち取れればテナントの移転時に自社ビルを紹介しやすくなる。ところが、ウィーワークが介在するとデベロッパーが情報を握る余地は狭まる。
ウィーワーク自身も日本の習慣の壁にぶち当たる。同社は利用者同士の交流促進のため、個室も原則ガラス張り。だが、パソコン画面や資料などがほかの利用者に丸見えになってしまうため、機密情報を扱う企業は二の足を踏む。三井不動産が展開するシェアオフィス「ワークスタイリング」の場合、利用者を法人に限定し、入退室も管理するなどセキュリティー面の懸念を抑えた。この点ウィーワークもガラス壁にドット柄のシールを貼るなど、苦渋の対応を迫られた。「世界中でも日本だけ」と担当者は苦笑する。
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