東京都心に大型再開発ビルが次々と建設される一方、塩漬けとなったままの土地が存在する。有名3物件が抱えるアンタッチャブルな裏事情を探った。
都内有数の繁華街・六本木。大勢の人々が足早に行き交う六本木交差点から横道を入ると、そこだけぽっかりと空間が広がっている。およそ140台が止められるコイン駐車場の一角に置かれた自動販売機には、この街特有の猥雑感を放つポスターが無造作に貼られていた。「美熟女の簡単なサポート」「男性募集」──。
かつてここには「TSK・CCCターミナルビル」という複合建造物があった。人を寄せ付けない雰囲気を漂わせていた建物群も、都心の再開発が進む中、2008年には跡形もなく取り壊された。住友不動産が跡地3761平方メートルを取得したのは11年秋。が、7年余り経った今も更地のままだ。長く塩漬けとなっているのは、その複雑な歴史とおそらく無縁ではない。
一等地にビルを遺した「猛牛(ファンソ)」こと故町井氏
TSKビルを建てた人物の名は町井久之氏。戦後、暴力団「東声会」を率いて裏社会を牛耳り、「猛牛」と呼ばれた。その町井氏が表社会に進出すべく、「東亜相互企業」を設立し、1973年に建設したのがTSKビルだ。在日コリアン出身の同氏は日本と韓国をつなぐフィクサーでもあり、釜山(プサン)・下関航路の利権も握っていた。
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